昭和の食卓では嫌われた「ふりかけ」が過去最高の売り上げに 節約志向で大人の「夜ごはん」でも重宝
2024年は日本で最も「ふりかけ」が売れた年になるかもしれない。 日本食糧新聞は8月23日、「ふりかけ=過去最高更新へ 節約志向応える徳用感」との記事を掲載した。同紙によると、丸美屋食品工業、三島食品、永谷園といった大手メーカーのふりかけ出荷額は22年9月頃から伸び始め、27カ月で上昇基調だという。 【写真】「ふりかけ持参」が議論になっている兵庫県川西市の給食はこちら これまでの出荷額の最高は00年度の412億円だったが、23年度は400億円に回復。本年度も前年比4%増で推移しており、00年度の最高額を更新するのは確実だという。 さらに市場調査会社の富士経済の作成した「ふりかけ市場 販売推移額」によると、ふりかけ市場は80年代から基本的に右肩上がりの成長を示し、2022年には538億円、23年は572億円の見込みで、24年は575億円に達すると予測している。 昭和世代からすると、ふりかけは「子どもの食べ物」というイメージがあるかもしれない。パッケージも子ども向けのキャラクターをあしらったものが多く、かつては親に頼んでふりかけを買ってもらった記憶がある人も多いだろう。 令和6年になった今、ふりかけが記録的な売り上げをみせているのは、一体なぜなのか。 前述の記事を執筆した日本食糧新聞社の吉岡勇樹記者はこう分析する。 「1つに、ふりかけは物価の優等生という点が挙げられます。実質賃金の減少期間と、ふりかけの市場規模が拡大した時期はほぼ一致しています。ふりかけといえば、朝ごはんや昼食のお弁当のお供というイメージがありますが、現在はインフレで家計が苦しいため、作れるおかずが少なくなっています。それを補うために夕食でもふりかけが登場するようになりました。過去をさかのぼっても、1993年の『平成の米騒動』でタイ米が緊急輸入された時や、バブルが崩壊して日本経済がデフレ基調になった2000年代にもふりかけ市場は活況を呈しました。収入減少や食料品の値上げなど『食卓の危機』が発生すると、安くておいしいふりかけは“庶民の味方”として重宝されてきたのです」 丸美屋食品工業は、ふりかけ業界でシェア1位を誇る。広報宣伝室の青木勇人室長はふりかけ人気の背景として「子ども時代にふりかけに親しんだ世代が親となり、わが子と一緒に味わう“ロングセラーの好循環”がある」と話す。