ノムさん“側近”元ヤクルト編成部長がドラフト成否を採点…「戦略型と独自路線型。90点は西武と日ハム、60点は楽天、ロッテだ」
プロ野球のドラフト会議が11日、都内のホテルでリモート開催され、注目の1位指名では、“高校BIG3“の小園健太(市立和歌山高)に2球団、隅田知一郎(西日本工大)に4球団が競合したが、小園は横浜DeNA、隅田は西武が引き当てた。支配下で77人、育成で51人が指名され、2021年のドラフトが幕を閉じた。ドラフトの成否は、5年後、10年後に判明するものだが、ヤクルトで編成部長を務め、阪神でも関東担当社会人スカウト、ヤクルト、阪神、楽天ではコーチとして、故・野村克也氏を支え”側近”と呼ばれた松井優典氏に独自採点してもらった。
西武は即戦力左腕2人の指名に成功
1位指名を事前に公表したチームが西武とソフトバンクの2チームだけに留まったドラフトは、いざ蓋を開けると“サプライズ“があった。大学ナンバーワン左腕の隅田に西武、巨人、広島、ヤクルトの4球団、”高校BIG3”の小園に横浜DeNA、阪神の2球団。単独指名が6球団となったが、楽天は高校通算56発の吉野創士外野手(昌平高)、ロッテが小園とバッテリーを組んだ松川虎生捕手(市立和歌山高)を1位指名してネットをざわつかせた。 ヤクルトの編成部長として2014、2015年のドラフトを指揮したノムさんの”元側近”松井氏は、今回のドラフトをこう総評した。 「スポーツ各紙の予想が、ここまで外れるドラフトも珍しかったが、誰が見ても間違いのない1位は競合した隅田、小園くらいだったということだろう。高校BIG3が順当に1位で消えたが、楽天とロッテが高校生の野手、捕手を1位指名したのには驚いた。各チームの狙いや意図がハッキリしたドラフトだった。もっと細かく見れば、それぞれのチーム事情に沿った戦略型と独自路線型の2つに分かれたように思えた。戦略型は、さらに巨人や中日のように来年の勝負に特化したチームもあった。すべてのドラフト候補を詳しく見ているわけではない私が、評価するのもおこがましいが独断で今回のドラフトを採点させてもらった」 松井氏が「一番の成功。90点以上」とトップ評価したのが西武と日ハムだ。 「戦略型」と「独自路線型」のそれぞれの最高点という見方で、隅田の1位指名を公表していた西武は、見事にクジで引き当て、2位では即戦力左腕として1位指名も予想されていた筑波大の佐藤隼輔の指名に成功している。 「西武は左腕が補強ポイントだったが、オリックスの宮城大弥のように同じ腕の振りでストレートと多彩な変化球を操れる完成度の高い左腕の隅田をクジで引き当て、はまったときのストレートが150キロを超えてくる左腕の佐藤まで指名でき、さらに3位で森友哉に依存している捕手強化に大学ナンバーワン捕手の中央大、古賀悠斗を指名できた。来年勝負の戦略型ドラフトとしては大成功。巨漢の長距離砲の育成に定評がある西武らしく6位で白鴎大の190センチの大型ショート、中山誠吾を指名したところに持ち味が出ていた」