ベールに包まれたドラフト…隅田、小園が競合する可能性も
今日11日、プロ野球のドラフト会議が午後5時よりオンラインで開催される。ドラフト前日までに1位指名を公表したのは、西武の大学ナンバーワン左腕、隅田知一郎(西日本工大)と、ソフトバンクの“高校BIG3”風間球打(ノースアジア大明桜)の2球団だけという異常なドラフト前夜となった。各球団の戦略はベールに包まれているが、意外にも隅田と小園健太(市立和歌山)に人気が集まり最大4球団が1位で競合する可能性も出てきた。蓋を開ければサプライズが待ち受けている可能性も大だ。
2年連続でドラフト失敗の巨人の戦略は?
異常とも言っていいドラフト前夜だ。昨年は7球団が1位指名を公表したが、ドラフト前日になっても1位指名選手を明らかにした球団は西武とソフトバンクだけに留まった。2017年から4年連続で1位指名を前日に公表してきたヤクルトでさえ発表は控えた。その理由は、外れ1位も含めた1位候補を12人揃えるのが難しい“氷河ドラフト”であり、クジで外した場合のリスクがあまりに大きいため当日まで各球団の動向を探り、競合か、1本釣りかを判断したいという各球団の思惑がある。 かつてヤクルトで編成部長を務め、故・野村克也氏の“側近”として知られる松井優典氏も、「チーム事情によるだろうが、何がなんでも即戦力補強をしたいという球団はクジを避けて1本釣りするだろうし、逆に余裕のある球団、あるいは外れ1位にアテがある球団は競合覚悟で勝負するだろう。私が編成部長時代は情報を集めて当日には全球団の1位予想を表にしてスタッフに配ったが、今年は予想にも苦労するかもしれない。前日までに公表できないというのは全体のレベルがそう高くないため、その見極めが難しいドラフト」という見方をしている。 過去の傾向を見ると、競合を避け1本釣りの方針を採用する可能性が高いのが広島と横浜DeNA。一方、日ハムのように「1番と評価した選手を指名する」という方針を貫く球団や地元選手を優先する球団もある。どの球団が、誰を1本釣りするかも興味深いが、注目は巨人のドラフト戦略だろう。この2年は大失敗に終わっている。 昨年は佐藤輝明(阪神)を1位指名したがクジを外して右腕の平内龍太(亜細亜大)を指名。1軍では3試合に登板、防御率14.40と結果を出せず、ファームでは中継ぎ、抑えで起用されているが、1軍のブルペン陣が厳しい状況にあっても、お呼びがかからず現在はフェニックスリーグに派遣されている。2019年も奥川恭伸(ヤクルト)を1位指名したが外し、外れ1位でも宮川哲(西武)を奪われ、堀田賢慎(青森山田)の将来性にかけたが、堀田はルーキーイヤーの自主トレで右ヒジを痛めてトミー・ジョン手術を行い、現在は育成契約に切り替わっている。 2018年は1位で根尾昂(中日)、外れ1位で辰己涼介(楽天)と連続で外して”外れ外れ1位”で指名した“無印”八戸学院大の高橋優貴が大ヒットした。しかし、2017年は1位で清宮幸太郎(日ハム)、外れ1位で村上宗隆(ヤクルト)と連続でクジを外し、中央大の鍬原拓也を指名したが、その鍬原も昨年右ヒジを手術、今季の1軍登板はゼロ。来年に向けてのチーム状況を考えると即戦力投手の補強が急務だ。