欧米では、“船”に対して 深い「リスペクト」がある、だから「靴」を“脱いで”乗る! 『 “プロ”が語った 「ボート遊び」!』 海に囲まれた日本で 「マリン文化」を 育てたい! (インタビュー第1回)
「釣り以外」のマリンライフを、どれだけ知っていますか?
日常生活のなかで、漁業従事者や自分で船を持っている人でなければ、「船」という乗り物とは意外と縁がない。 乗ったことがあるのは「観光船」か「釣り船」くらいで、本当の意味での「ボート遊び」を知っている人は非常に少ない。 日本に「アメリカの至宝」といわれる「Rybovich & Sons」が造った「 RYBOVICH 40' SPORTFISH “TWENTY” 」を日本に持ち帰り、“完璧なレストア”を行ったのが、今回、話を聞かせていただいた吉原 浩孝氏だ。 吉原氏は、横浜ベイサイドマリーナを拠点とし、クルーザーの販売やメンテナンス業務を行う企業・ハウンツの代表である。
当初は、ヘミングウェイが造船に携わった船「 RYBOVICH 40' SPORTFISH “TWENTY” 」の話を聞くつもりだったが、吉原氏の語る「本当の海遊び」の話が、非常に面白かった。 四方を海に囲まれている日本でありながら、実際に「海で遊んでいる人」が非常に少ない理由も、良く分かる。今回は、インタビューの1回目(インタビュー・1/2)。
欧米では、船に対して非常に深い「リスペクト」がある、船には「靴」を“脱いで”乗る!
―― 本誌は水上バイク専門誌なので、水上バイクについては分かるのですが、「船」というものにあまり馴染みがありません。そこで、「船遊び」を知り尽くした吉原さんに、「船とは、どういった遊び方をするのが一番楽しいか」というのを教えていただきたいです。 吉原 その前に、最初に知っていただきたいのが、アメリカやヨーロッパでは、船に乗るときは 当たり前のように「靴」を“脱いで”乗ります。 家の中を靴で歩く人が、なんで船だと靴を脱ぐのかって不思議な文化ですけど、それだけ「船」に対してリスペクトがある。こういう文化に、日本は全然追いついていません。 ―― 日本で「船」といわれたら「釣り船」のイメージしか浮かびません。 吉原 「センターコンソール」っていうタイプの船は、日本では「釣り船」だと思われていますが、実は違います。 アメリカに行ったら「センターコンソールの船」イコール「ピクニックボート」なんです。 100艇いたら、ガチでやっているのは数艇だけ。ほとんどが、気軽に“船”を楽しんでいます。 ―― ピクニックボートというのは、どういう遊び方をする船ですか? 吉原 休みの週末に「じゃあ、ランチに行きましょうよ」って気軽に出かけて、それこそ娘さんが操船して、旦那さんと奥さんが前でビールを飲んでいる。後ろには娘さんの友達がいて、「ちょっとランチに行って帰ってくる」みたいな遊び方。 アメリカには、浅瀬でビーチング(ボートで上陸する方法のひとつ)したり、船が付けられるレストランもいっぱいあります。 ―― 欧米では、クルマでドライブに行くくらい、船は身近なものなのですね。 吉原 僕はもともと釣りの延長から入っていますけど、みんなが釣りをしたくて船を始めるわけじゃない。 世界的に見たら、フィッシングボートのほうが少ない。でも日本では「船に乗ったら“釣り”」みたいなところがありますよね。 ―― それしか遊び方が分からないですから。 吉原 「遊び方を知らない」のは、オーナーのせいじゃない。 僕ら、ボート業界に責任がある。 “船を売る側”の若い人たちが、カジキ釣りをやったことがない、新島行ったことがない、大島行ったことがないっていう人が多い。遊び方を知らないんです。 僕らの時代は当たり前のようにお客さんと遊びに行って、「大島面白いよ」「新島行きましょうよ」ってできたのが、今は良くも悪くも働き方改革でそんなのができなくなっています。 外に外に出て、自分たちでいろんなものを感じてなかったら、遊びの提案はできません。僕がいうのもおこがましいですが、「オーナーを育てる」のは、僕ら業者なんです。
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