態度豹変のIOC非難声明が森会長辞任への決定打?!海外メディアも「叱責されても職に留まる」と続投方針を疑問視
IOC(国際オリンピック委員会)は9日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などの女性蔑視発言をした問題についての声明を発表した。IOCの理念と過去の歩みを説明した上で「森会長の最近の発言は完全に不適切であり、IOCのコミットメントと五輪アジェンダ2020の改革に矛盾している」と強烈に非難した。 当初、IOCは、森会長が4日、自らの女性蔑視発言を「謝罪、撤回」した会見後に「森会長は謝罪をした。これでこの問題は終わったと考える」との“火消し声明”を出していた。だが、国内外からの批判の声が収まらず態度を豹変させた。 森会長は、辞任を明確に否定。政府、大会組織委員会、そして森会長の“母体”である自民党も“続投”を支持している。だが、IOCの非難声明は辞任への決定打とも言える”逆風”となった。もう政治力で“続投”を押し通すことは無理な状況に追い込まれたのかもしれない。
「国内外の激しい抗議があっても辞任を求めない」
海外メディアも、さっそくこの問題を取り上げた。多くのメディアが通信社系の記事を引用して「IOCが森会長発言に対して非難声明」と報じているが、独自の視線で記事化しているメディアも少なくなかった。 ワシントンポスト紙は「性差別発言に対するIOCの叱責にもかかわらず、日本の五輪リーダーが職務に留まる」との見出しを取り、辞任を決意しない森会長を批判的な論調で報じた。 「IOCは東京五輪組織委員会の森喜朗会長による女性に関する発言が『完全に不適切だった』としたが、国内外から激しい抗議が生まれている中で、(政府、自民党や組織委員会が)彼に辞任を求めることは拒否した」と伝えた。 記事では、日本ではボランティアの参加辞退が急増していること、世論調査で半数以上が、森氏の辞任を求めていること、日本の国会議員の女性メンバーたちが、森氏の発言に抗議するために国会で白色の服を着用したことなどの社会的な反発を紹介。 「世界中で新型コロナウイルスが広がっていることから多くの著名人が五輪大会を中止すべきと呼びかけている」とも続けて、森会長の続投が、その逆風をさらに強くしていることを示唆した。 独自取材を交えて詳しく報じたのが英の高級紙ガーディアンだ。 「ボランティアが辞めていく中でIOCが東京(五輪)トップによる女性に関する発言を非難」との見出しを取り、「IOCは、森会長による女性蔑視発言を“完全に不適切”と非難した。森会長は(国内外からの)怒りが増す中で辞任のプレッシャーを受けている」と伝えた。