米メディアも森会長の女性蔑視発言を問題視「日本のSNSでは辞任を求める声」「彼の失言は初めてではない」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で行った「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などの女性蔑視ともとれる問題発言が朝日新聞など複数のメディアで報じられたが、その波紋が海外に広がり、米メディアもこの問題を次々と伝えた。 ニューヨークタイムズ紙は「東京五輪会長が会議で女性の制限を示唆」との見出しを取り「日本の元首相の森喜朗氏が、会議では女性の発言時間を制限する必要があり、それをしないと『終わらないだろう』と発言した」と問題発言を伝えた。 記事は「この夏の五輪大会のコスト増や深刻な世論の反対に直面している東京五輪の主催者たちが、組織委員会の会長が女性たちは会議で話し過ぎると発言したことで新たな(世間の)怒りを買った」とし、オンラインで行われた日本オリンピック委員会の臨時評議員会での森会長の女性蔑視発言がニュース報道で広がった後、SNS上で大批判が展開されていることを伝えた。 同記事はSNS上のコメントの内容を拾い、「ツイッターではユーザーたちがすぐに森氏の辞任を求め始めた。その他のユーザーは、森氏の年齢と時代遅れの考えが大問題だと主張している」と紹介した。 さらに「SNSの他のユーザーたちは、彼の発言のみならず、会議で、その時に誰も異議を唱えなかったことへの落胆を示した」とし、『レイシズムとは何か』(ちくま新書)の著者である梁英聖氏の「女性差別以外のなにものでもない。即辞任すべき。でも問題は、周りが誰も止めなかったこと。一番のニュースはJOC評議会という公的な場で、記者もいるなかで発言し、誰も差別を止めなかったこと」とのツイートを引用している。 ワシントンポスト紙は、「東京五輪の会長、女性たちが会議で話し過ぎ、それが『困る』と発言」との見出しを取り、この問題を報道。一連の発言について触れ「森氏の発言は、日本オリンピック委員会が女性理事の割合を40%以上とすることについての質問に応じたもの。委員会の何人かは笑って受け止めていたと報じられている。11月の段階で女性は24人中わずか5人しかいない」と説明した。 記事は「2000年と2001年に日本の首相を1年余り務めた森氏は、過去にも中傷発言をしてきた。2000年1月に彼は1969年の初めての選挙活動をエイズに例える冗談で振り返っている」など、総理大臣時代の失言を紹介。さらに森氏が、2014年に東京五輪の組織委員会会長となった直後に、フィギュアスケートの2010年バンクーバー五輪の銀メダリストで3度の世界選手権覇者である浅田真央氏に対して「大事な時には必ず転ぶ」と発言して大バッシングを浴びたことや、同じくフィギュアスケートのアイスダンス選手で、日本人の母親と米国人の父親のもとに生まれ、米国で育ったが日本代表として競技するために米国籍を放棄したクリス・リード、キャシー・リードについて「五輪で米国代表としての実力がなかった」と問題発言したことをクローズアップ。五輪組織委員会のトップとしての資質を問うた。