50代の男性部長 成果は上げているのに「友人がいない」と孤独…人間関係づくりに必要な三つのこと
自分から行動しなければ変わらない
産業医 : 今まで、このような努力をしてこなかった? 田中部長: 人間関係も仕事中心でしたから、それ以外に気を回す余裕もなかった。 産業医 : 学生時代は純真で多感な時期ですから、同級生とかクラブ仲間の中で友人ができました。次に趣味や遊び仲間、偶然の出会いもありますね。 田中部長: 学生時代の仲間と会うのは、同窓会に顔を出す時くらいですね。趣味は、その時間で終わりだから。 産業医 : 部長のようなビジネスマンは多いです。ご安心ください。 田中部長: 少し安心した。 産業医 : では、おすしを食べに行くことから始めてください。行動しなければ変わりませんから。 田中部長: 第一歩。行動しないとね。
田中部長に友人ができた
田中部長のように50歳前後、会社員生活が終わりに近づくころから、これから先を考えて、孤独や寂しさを感じる男性は少なくないように思います。友を作るにも、努力は必要です。田中部長のその後ですが、「2人を選んで食事からスタートしています」との報告。そして2年後に会うと、「先生、1人、友人ができました」と笑顔で語ってくれました。 ここ数年、このような悩みを持つ男性3人と面談をして行動を促しました。友人ができたと報告してくれたのは田中部長だけ。他の2人はどうも行動が中途半端でした。私は、妻に先立たれた78歳の男性です。ここに紹介したようなやり方は実は私自身が実践して、人間関係を育ててきました。家族との付き合いも友人付き合いも配慮や努力が必要だと思っています。
夏目誠(なつめ・まこと)
精神科医、産業医、大阪樟蔭女子大学名誉教授。40年以上13企業の精神科医として従業員の診療や相談、啓発普及(講演1500回)、復職支援に関与しメンタルヘルスの向上に取り組んでいる。人事院・心の健康づくり指導委員会委員、日本産業ストレス学会元理事長。 著書に Amazon.co.jp:「35歳からのメンタルヘルスー事例でわかる働く人と家族のストレス対策」、「中高年に効く! メンタル防衛術」、「職場不適応サイン」など多数。 夏目誠の公式ホームページ (natsumemakoto.com) 精神科医マコマコちゃんねる - YouTube