50代の男性部長 成果は上げているのに「友人がいない」と孤独…人間関係づくりに必要な三つのこと
産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
精神科産業医として45年以上のキャリアを持つ夏目誠さんが、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。 【表】うつ病にならないためにやめた方がいい七つのこと
会社員は50歳代になると、サラリーマンとしての先行きが見えてきます。業務ではデジタルへの対応など新しい仕事があり、一方で加齢に伴う体力低下、人によっては男性更年期障害もあります。ということで50歳代男性社員からのメンタル相談が増えています。その中には孤独感や寂しさを訴える人もいて、どう対応するか一緒に考えています。
高ストレスの原因が悲しい、疲れやすい
職場で行われる「ストレスチェック検査」で「高ストレス」者面談を希望した51歳の財務部長、田中太郎さん(仮名)の相談事例です。 産業医 : 「高ストレス状態」になっています。悲しい、疲れやすいなどの訴えと、周りのサポート度合が低得点です。お疲れ気味でしょうか? 田中部長: 実は……こういうことで面談を受けようかどうか迷っていました。悩みというほどではないのですが。 産業医 : どうぞ。 田中部長: 最近、なぜか、寂しさや孤独を感じることが増えました。 産業医 : ふむふむ。 田中部長: 仕事の方はバリバリやってきて、成果も上げて、それなりの評価も受けています。 産業医 : そうか。 田中部長: それでも休日や時間がある時、ふと「俺って孤独だ」と感じるのです。 産業医 : 孤独……そう思う中高年男性は多いです。遊びの仲間は?
ゴルフや囲碁の仲間はいるけれど…
田中部長: ゴルフ仲間が5、6人います。 産業医 : でも? 田中部長: プレーして会食で歓談したら、はい、さようならで、おしまい。 産業医 : なるほど。 田中部長: 囲碁も好きなので、対局もしますが。それだけですね。 産業医 : 趣味の仲間では物足りなくて、雑談をするような相手が欲しいということですか? 田中部長: そう言われてみると、そうですね。こう言うのも変かもしれませんが、仕事も趣味も関係なく、なんとなく楽しくおしゃべりする時間が欲しいのかもしれません。 産業医 : なるほど。 田中部長: そのような友人はいませんね。 産業医 : いない。 田中部長: 趣味の仲間は社内の人が多いので、弱みや悩みはちょっと話しにくいですね。 産業医 : それで? 田中部長: 友人がほしい。 産業医 : それは大切なことですね。