「大人の発達障害」が増えている理由、そして治療方法は?【40代50代・「大人の発達障害」を理解する①】
「人付き合いが苦手」「思ったことを発言してよく失敗する」といったことで人間関係が築けなかったり、生きづらさを感じているのなら、それはひょっとすると「大人の発達障害」かも。いったい発達障害とはどんなもので、どんな治療法や対処方法があるのだろうか? 医学博士で発達障害を専門とする司馬理英子さんに伺った。
大人になってわかるケースが増えている
「場の空気が読めずに失言してしまう」「人とかかわるのが苦手」「集中力が続かず、すぐに飽きてしまう」「やるべきことより、やりたいことを優先してしまう」。こうしたことで、人間関係や仕事がうまくいかなくて悩んでいる人は少なくない。実はそれは「大人の発達障害」が原因かもしれない。 「日本で発達障害が知られるようになって、まだ20年ほどしかたっていません。2004年に『発達障害者支援法』が制定され、2010年に『障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)』の対象となりました。 それまでは、落ち着きがないと片づけられていたのです。しかし研究が進み、それは生まれつきの脳の特性であることがわかってきました。 発達障害が子どもの頃にわかる場合もありますが、学力などに問題がなければ、本人やまわりの人は違和感を抱きつつも、気づかれずに大人になることがあります。 例えば、『場の空気が読めずに思ったことを発言してしまう』ことは、子どもならよくあることなので、許されてしまいます。しかし、社会人になると、そうした何気ないひと言で人間関係を壊すことになりかねません。 こうした問題点も、『誰にでもあること』から『発達障害の傾向がある』、『生活に支障が出る』状態まで、程度はさまざまです。そうしたレベルにもよりますし、生活環境によっては、子どもの頃はまわりの人にサポ-トされ、本人も年齢を経て徐々に学習しながら克服していくこともあります。 一方で、特に女性は就職、結婚、出産、子育てなど、ライフステージごとにやるべきことが増えるにつれ、今までなんとかなっていたことが、だんだんできなくなって発達障害に気づくケースもあります。 ADHD(下記参照)の場合は、約1/3が思春期までに症状が落ち着き、約1/3はさほど目立たなくなり、残りの約1/3は大人になっても症状が残るといわれています」(司馬理英子先生)