「退職金3,600万円」上場企業の本部長が60歳で退職。同僚たちに盛大に見送られ、会社をあとにしたが…「おつかれさま」の声もない、ポツンとひとりの自宅に広がる「衝撃の光景」
高齢社員の活躍の場を広げようと、役職定年を廃止する企業が増えています。一方で、いつまでも第一線で働き続けないといけないというジレンマもあり、自分でひと区切りをつける人たちも増えています。しかし、その先に待っているのは明るい未来とは限らないようです。 【ランキング】47都道府県別「公務員の平均退職金」…3位「滋賀」2位「愛知」1位は平均2,307万円
大手企業本部長…これ以上気力が持たないと60歳で会社を去る決意
役職定年が広がったのは1986年、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」、いわゆる高年齢者雇用安定法により、それまで55歳定年が主流だったなか、60歳定年の努力義務が定められたことにさかのぼります。定年延長による人件費の拡大を、降格というカタチでどうにかしようとしたわけです。 人事院『令和5年民間企業の勤務条件制度等調査』によると、役職定年があるのは16.4%。そのうち、「今後も継続」としているのは95.6%で、4.4%は廃止を検討していました。また従業員500人以上の企業に限ると、役職定年制があるのは30.7%。今後も継続としているのは95.7%で、4.3%は廃止を検討しています。 役職定年によって降格し、給与が下がることによって、働き続けるモチベーションは著しく低下。問題視されてきました。高齢社員の生産性低下という問題を解決するためにも、役職定年制の廃止の流れは、今後も進んでいくといわれています。 一方で、役職定年制の廃止はよい面ばかりではなさそうです。加藤哲也さん(仮名・60歳)、とある大手企業で本部長として活躍していました。勤めている会社では役職定年がなくなり、さらに定年も65歳に延長になったそうです。 ――60代になると、体力だってそれまで通りとはいかないでしょう。しかし会社からはまだまだ猛烈に働けと……そこまで気力を保つのは難しいと考えました 後輩に本部長の椅子を譲ったほうが会社のためにもなる……そう考えて、加藤さんはそれまでの定年年齢である60歳で会社を去ることに決めたといいます。 実は加藤さんの会社では早期退職優遇制度もあり、一定条件を満たせば退職金がプラスαになるといいます。 ――勤続年数加算があり、退職金は4,000万円ほどになりました ほかに、老後資産としての預貯金も同じくらいある。住宅ローンの返済も終わった。これだけあれば、何不自由のない老後が送れるだろう……そんな目論見で会社を去る決心をしたといいます。 厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者がいた企業のうち、定年による退職は56.5%。自己都合が31.7%、会社都合が6.1%、早期優遇が5.7%でした。
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