「大人の発達障害」が増えている理由、そして治療方法は?【40代50代・「大人の発達障害」を理解する①】
問題は生活のなかでどれだけ不都合が生じるか?
では、発達障害とはどのような症状をいうのだろうか? 発達障害には主にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(限局性学習症)の3種類があるが、この連載では主に、ASDとADHDの2タイプを取り上げていく。
“ASD(自閉スペクトラム症)”では、主に相互的なやりとりが苦手だ。 「ASDには、人とかかわることを極端に避ける孤立群タイプ、人とのかかわりが受け身で、自分の気持ちが伝えられない受動群タイプ、思ったことを何でも言ったり、一方的に話すなど、発言やふるまいが自己中心的に見える積極奇異群タイプに分かれます」
“ADHD(注意欠如多動症)”では、不注意で落ち着きがないのが特徴だ。 「ADHDには集中力が散漫でケアレスミスが多い不注意型、落ち着きがなく、衝動的な行動が目立つ多動・衝動型があり、その混合型もあります。特に多動・衝動型では、興味のあることはあれにもこれにも手を出しますが、長続きしません。 例えば、ASDとADHDもともに遅刻する人が多いのですが、その理由が異なります。ASDの場合は朝の支度の段取りが悪く、時間がないのにご飯を食べるといった優先順位がわからなくて遅刻します。一方、ADHDは探し物をしたり、テレビに気を取られるなど、注意力があちこちに移動してしまい支度が遅れます」
“ LD(限局性学習障害)”は一定の分野の学習が非常に困難な状態。例えば、読む、書く、話す、計算するなど、一部の学習が苦手だ。 「こうした発達障害の特性の出方、それによる不都合なことは、育った環境や社会生活においてまわりにどれだけ理解者がいるかで変わってきます。その特性によってすごく生きづらさを感じて生活に支障が出る人もいれば、そこそこうまくやっていける人もいます。 がんであれば細胞を調べれば診断のつくことが多いですが、発達障害の場合は『普通(定型発達)』との境界線が明確ではありません。何をもって障害と考えるのかは、本人がどれだけ困っているかが重要なのです」