はやぶさ2は新たな天体探索へ JAXA会見6月29日(全文2)
社会的要請や課題に応える活動としても役立った
それから技術の観点では、これNEOっていうのは近地球小惑星のことです。Near Earth Objectですけども、これの往復技術と天体到着後の自在性を確立したと。これはただ着陸して帰ってきただけじゃなくて、ロボットを小惑星に降ろしたり、人工クレーターを作ったり、いろんな方法でリュウグウを探査して、そこを皆さんにもすごく楽しんでいただいたんだと思っています。こういうことをより遠方とか、より大きな天体探査の課題に注力できる状況につなげることができたのかなというふうに思っています。太陽系まだたくさん小天体も含めると、それから日本はあんまり攻めきれていない大きな惑星ですね、こういうところも含めるとまだまだ行き先はありますが、これが「はやぶさ2」の成果を足場に、もっと高度なサンプルリターンだったり、あるいは片道探査でも応用できることがあるのではというふうに思っています。 それから、「はやぶさ2」が掲げたもう1つの柱、探査ですね。これはどちらかというと社会的な波及効果のことを指して、われわれずっとこう言っていたんですが、科学技術のみならず社会的な要請とか課題に応える活動としても、この「はやぶさ2」のミッションは役に立つことができた、あるいは可能性を示すことができたというふうに思っています。 社会的な課題っていうと例えばプラネタリーディフェンスですね。地球に衝突する可能性のある隕石についてどう考えるかとか、あるいは宇宙資源ビジネスの話、それから国際宇宙探査っていうことで今、国際間で探査の別のカテゴリーの探査みたいな形で盛り上がっていますが、こういうところに日本が、「はやぶさ2」をやった日本として貢献できること、どういうことかっていうことが考えられるようになったということだと思います。
「はやぶさ2拡張ミッション」は宇宙科学研究所の所管に
日本としては太陽系探査事業これからまだ先、続きます。2020年代でもSLIMとかMMX、DESTINY+、それから海外との協力ミッションという形でHera含めていろいろありますが、こういうこと、これは「はやぶさ2」があったから促進された側面も大きいというふうに思っています。少なくともブレーキをかけることがなくて良かったなというふうにほっとしていますけれども、「はやぶさ2」やれたんでしょう、だったらっていう形で海外から声が掛かった事例もありますので、こういうところはこの宇宙探査の科学という面で貢献することができたと思っております。 では次のページにいきまして、ここから先は今後のお話をさせていただきたいと思います。冒頭に申し上げましたが、あした、6月30日で「はやぶさ2」プロジェクトはJAXAの事業としては解散いたします。「はやぶさ2」探査機、アセットは宇宙に残ってます。それからサンプルそのものも、分析はこれからもどんどんやられていくということで、それらの事業は「はやぶさ2拡張ミッション」プロジェクトという形で移管されます。 今まで、今日現在も存在する「はやぶさ2」プロジェクトはJAXA直轄の事業でしたが、ここから先、拡張ミッションのプロジェクトは、これはJAXAの中の位置付けの違いだけですけども、宇宙科学研究所の所管の事業ということになります。「はやぶさ2拡張ミッション」プロジェクトっていうと、ご想像いただけるのは宇宙に残っている探査機が新しい小惑星を目指します。これの探査機運営を継続することなんですが、これだけではなくて、「はやぶさ2」が非常に大きな、科学性な成果を得られて、まだそれは解析が続いていますし、まだまだいろんな成果が期待できますので、この科学成果の促進とか発展を目指す、こういう事業も並行して行ってまいります。 この全体の「はやぶさ2拡張ミッション」プロジェクトのチーム長としては、私が継続して行わさせていただくことになりました。ですが、これは特に探査機の部分ですね。私自身10年間やってまいりまして、非常に大きな経験をさせていただいたし、この6月30日ということで探査機の運用は1つ成果を上げるという意味では一区切りつけたと思っています。で、できるだけこの新しい目的地に向かうミッションは、チームの中でも若いメンバーが中心となってやっていけるような環境をつくっていきたいと、私自身は思っています。