はやぶさ2は新たな天体探索へ JAXA会見6月29日(全文2)
査読付き論文298本、アブストラクトのみは1000件以上
吉川:では続きまして13ページ、広報・アウトリーチなんですが、ここは簡単にご説明しますけれども、広報とかアウトリーチにもプロジェクトとして非常に力を入れました。その理由は単にプロジェクトの宣伝をしたいというだけじゃなくて、いろんな方々にこういう探査ですね、小惑星探査、あるいは宇宙探査というものに興味を持っていただいて、科学というものにどんどん興味を持っていただいた上で、特に若い人たちにわれわれの後を継ぐような新たな挑戦をしてほしいということでいろんな情報を発信しました。 詳しく説明しませんけれどもその資料にありますように、いろんなこういう記者説明会も含めまして、講演会とか、あるいはいろんなキャンペーンですね、行って、かなりの人に興味を持っていただけたのかなと。効果と書いてありますけれども、いろいろとこの「はやぶさ2」を利用していただいて活動もしていただいたということになります。 次のページ、14ページですけれども、これは論文とか受賞をまとめてみました。これは今年の4月の時点での論文の数なんですが、そこにありますように査読付きの論文298論文ということで、アブストラクトだけ、これは口頭発表も含めて1000件以上と。この数は、その下にちょっと書いてあるんですが、アメリカのオサイリス・レックスチームたちの論文の数と引けを取らないということで、サイエンス的にも、あるいは工学もそうなんですが、理工学、学術的に非常に効果があったということになります。 あと、そうですね、下のほうには受賞についても書かれていまして、いろんな受賞ですね、国際的な受賞、国内受賞とありまして、合計57件の受賞があるということになります。右には『Science』とか『Nature』の表紙を飾ったものとか、あとつい最近なんですが、工学の論文を集めた、「はやぶさ2」の本も出版されています。
サンプルリターン探査の科学的威力がわかった
あと15ページ、これは今回このタイミングで、「はやぶさ2」のミッションをまとめたビデオとパンフレットを作りました。ビデオのほうは本日からこのYouTubeで公開していますので、ぜひご覧ください。だいたい15分弱のものなんですが、打ち上げから地球帰還までを、ほとんどCGなんですが、どんなことを行ったかが分かるようにナレーション付きで表示されます。 あとこの右側には「はやぶさ2」の最後のパンフレットを作りまして、今日会場にいらした方にはお帰りのときにこういう新しいパンフレットをお配りしますし、ご入用の方はプロジェクトに言っていただければお送りしますので、これが一応、総括のパンフレットということになります。 あとこれ、ついでというと変なんですが、「はやぶさ」のときのやはりまとめたビデオがあって、これ一般に公開するタイミングを逸してたんですね。このタイミングでこちらも公開しますので、ぜひこちらもご覧いただくと比較できます。「はやぶさ2」と「はやぶさ」全然、やってることは似てるんですが、中身が違うっていうことが分かりますので、ぜひお楽しみいただければと思います。では「はやぶさ2」最後のページになります。 津田:いいですよね、はい。16ページですけれども、これ、「はやぶさ2」、今ご説明してきたように、いろんな方面で成果を上げることができたというふうに思っています。これ、将来の探査、日本だったり、あるいは世界の宇宙探査につながればいいなというふうに思っていまして、この「はやぶさ2」の成果から見えてきた将来の宇宙探査という形でまとめさせていただきました。 まず科学面では、これ「はやぶさ2」が行ったC型小惑星ですね、これ素性が明らかになりまして、やっぱり行ってみると面白かったと。始原天体、プリミティブな物質がある天体ですね、この多様さを理解することの重要性がより明らかになったということで、これをばねに次のサンプルリターン、サンプルリターン探査の科学的威力っていうのはあるということが分かりましたので、これがC型の次っていうとまだ人間が、人類が訪れたことがない天体っていうとD型とかE型とかまだあるんです。それから彗星ですね、帚星。ここからサンプルを持って帰れるとなると、これは本当にまた大きな科学成果が期待できるし、それができる素地ができたんだというふうに思っています。