はやぶさ2は新たな天体探索へ JAXA会見6月29日(全文2)
若いメンバーが活躍できる場をつくりたい
その意味で、18ページの「はやぶさ2」の拡張ミッションの事業としては、大きく2つに分かれるんですね。新たな天体の探索、この部分を探査機の飛行の部分です。それから2つ目の柱が、「はやぶさ2」の成果の学術価値の促進とか発展ということ。これが「はやぶさ2」がすでに上げた成果をさらに発展させていく事業です。これ全体は私が見ていくことになるんですけれども、新たな天体の探査の部分は、これ、10年続く事業です。「はやぶさ2」で育った若手がたくさんおります。探査機の、探査機運用リーダーという形で、今日登壇しています三桝のほうに、この探査機の運用の統括をすると。要するに、そこにサブグループをつくって、そちらで天体の探査の事業を継続するという形を取りたいと思います。 ちょっと私自身がどこまで引き下がるのかというのは、私だけでは決められないいろんな事情がございまして、私自身は全体の事業を統括しますけれども、プロジェクトとしては、また、これ挑戦できる大変良い機会ができたと思いますので、若いメンバーがどんどん活躍できる場をつくっていければというふうに考えております。ここから先は三桝のほうから新しい拡張ミッションについて、すでにご説明してきたところも多いですが、それも含めて、兼ねて、現状を報告したいと思います。
2026年7月に新たな小惑星にフライバイする予定
三桝:ありがとうございました。「はやぶさ2」プロジェクトチームの三桝と申します。よろしくお願いします。今、津田のほうから説明がありましたけれども、拡張ミッションの運用に関して、私のほうからおさらいも兼ねてご説明させていただきたいと思います。 こちらの18ページ目の図に書いていますとおり、拡張ミッションではわりとさまざまなことを実施していきたいと考えていまして、まず巡航運用ですね。これは非常に長い運用になりますけれども、長期間の間、省力化して運用する方式であるとか、イオンエンジンの長期運用実績の蓄積ですね。これは実績をつくっていくということをやりたいと考えています。もちろん、これだけではなくて、拡張ミッションのハイライトになりますけれども、小惑星の近接フライバイや、最終的には高速自転小型小惑星という新たな天体にランデブーして、リュウグウのミッションフェーズでやったような運用をやっていきたいというふうに考えています。 次のページにいっていただいて、こちらが拡張ミッションの主要イベントのタイムラインになっていますけれども、左側の図、これまでも何度かお示ししていたんですが、ちょっと右側の図は、原点に太陽があって、座標1、0のところに地球が固定されている、ちょっと玄人好みの図になっているんですけれども、こちらの軌道図を示しております。どちらも「はやぶさ2」と目的の天体の小惑星の軌道の図になっているんですけれども、ちょっと座標系が異なるということで、見え方が違っていると。 2026年の7月に、2001 CC21という新たな小惑星にフライバイする予定になっていまして、そこまで、26年の7月まで巡航の運用が継続していくことになっております。その後、2027年の12月には地球スイングバイを行いまして、そのさらに半年後、2028年の6月に再度、地球スイングバイをして最終目的地の1998 KY26に軌道を遷移するという形になっております。到着予定は2031年の7月ということで、今から数えても計9年の長旅ということになっております。 次のページには現時点での探査機運用の状況ということで、近況をお示ししております。2022年の6月28日、今日が29日ですので、昨日ですね、ちょうど昨日から、イオンエンジンの運転を再開しております。これは、だいたい10月ごろまでの予定となっておりまして、3カ月ということですかね。実施していくという状況です。拡張ミッションにおけるこれまでのイオンエンジンの運転時間は、約5,000時間となっておりまして、すでに、拡張ミッションにおいてもかなりの時間、運転していることがお分かりになるかなと思います。 【書き起こし】JAXA会見6月29日 全文3に続く