日銀・黒田総裁会見4月27日(全文3完)2%目標は適切、引き下げは考えていない
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の27日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が記者会見(2021年4月27日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が記者会見(2021年4月27日) ◇ ◇
現実的な目標を再設定する必要性はないのか
北海道新聞:北海道新聞の【ツチヤ 00:49:07】です。2%の目標達成が見通せない中で、まずはもう少し現実的な目標を再設定する必要性はないのでしょうか。やはり欧米の中央銀行が同様の目標を設定する中で日本銀行だけが引き下げるというのはなかなか難しいんでしょうか。お考えをお聞かせください。 黒田:2%の目標については従来から申し上げているとおり、まず第1には消費者物価指数が実態よりも高めに出るという傾向があるということで、その点を考慮しなければならないと。つまり消費者物価指数の上昇率がゼロでも実際はデフレなのかもしれないということなんですね。 それからもう1つはやはり金利政策を円滑に運用するためにもある程度の余地というか、政策の余地がある必要があるということから、日本銀行のみならず主要先進国の中央銀行が全て2%の物価安定の目標というものを掲げて金融政策を運営しているというのが現状であります。その結果として先ほど来申し上げているとおり、主要国の中央銀行がみんな2%の物価安定目標を掲げて政策を運営しているということが結果的に主要国間の為替レートを中長期的に見て安定させているという効果があることも事実だと思います。 いずれにせよ今申し上げたような理由から2%の物価安定目標というのは適切であると考えておりまして、これを引き下げるというようなことは考えていないということであります。
ノンバンクへの金融当局の視線が厳しくなっているようだが
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:51:08】と申します。金融システムに関連してなんですけれども、昨今話題になっておりますファミリーオフィスの問題も含めてですけれども、ノンバンクに対する金融当局の視線が特に欧米中心により厳しくなっているようにみられるんですけれども、金融システムに与える影響ですとか総裁の現状認識を伺えればと思っています。 黒田:今ご指摘の点はまさにそのとおりでありまして、最近のFSBであるとかIMFとかいろんなところが金融システムに関して特にノンバンクの金融機関がかなり大きなシェアを占めるようになり、その活動、行動がさまざまな影響を与えうるということはそのとおりであります。わが国の場合、欧州の大陸諸国とよく似て金融システムっていうのが、銀行が非常に大きな役割を果たしているということで、ノンバンクの金融機関が大きなシェアを占めるというふうになっていませんが、ご案内のようにわが国の金融機関もさまざまな金融の投融資を行っておりまして、そうした観点から諸外国のノンバンク金融機関の活動、あるいはその動きが間接的にわが国の金融機関に影響を与えるという可能性も高まっているわけで、最近の分析でも示されているように、いわゆる連関性が高まっているということもありますので、単にわが国のノンバンクの動きをモニターするというだけでなく、諸外国のそういった動きにも十分注意して見ていく必要があると。そういう意味では諸外国の中央銀行との情報交換、意見交換というものも密にやっていく必要があるというふうに考えています。