日銀・黒田総裁会見4月27日(全文3完)2%目標は適切、引き下げは考えていない
未達の理由に説得力がないのでは
朝日新聞:朝日新聞の原です。2%目標についてお伺いしたいと思います。今日、たくさんの記者の方からすでに2%目標の質問が出ていますが、ここで重ねて質問するのは、総裁が2%を達成できなかった理由として挙げられている根拠というか、その理由があまり説得力がないと思うからです。 例えば原油価格の下落とか、携帯料金の値下げというのは、2~3年の間に、それが理由として挙げられるんだったらともかく、10年間達成できない理由にはならないと思うんですね。10年間あればその間に携帯料金の値上げもあれば、値下げもあれば、原油価格の下落もある。パンデミックの1回は起きる。10年あればいろんなことがあって、それを前提にした政策決定だったはずなんですね。 で、まったくそれが10年間できない理由にはなっていないのと、もう1つは、粘着的で適合的な期待形成があるということも理由に挙げられていますけれども、これもそんなことはもうとっくの昔からみんな分かっていたよっていう話だと思うんですね。それは黒田総裁が着任される前の白川日銀時代からすでにそういうものはあったわけですよね。それを突破して、黒田バズーカで風穴を開けるというのが異次元緩和だったはずなのに、今さらそれを粘着的で適合的な期待形成を理由に挙げられても、あまり説得力がないというふうに思います。 そもそもその2%目標、2年で2%を達成するという目標そのものが無理があったのではないかということと、そのとき、2013年の4月5日の記者会見で、総裁は質的・量的緩和でマネタリーベースを目標にするのは、なぜかといえば分かりやすいからだとおっしゃったのですが、結果的には今、イールドカーブ・コントロールやマイナス金利も含めて、これだけ複雑で難解で、とても普通の国民では理解できないような政策、枠組みになっているわけですけれども、最初の2013年4月5日の記者会見のときのお考えに立ち戻って、あらためてそこに無理があったんではないかと、見立てに間違いがあったんではないかという、振り返ってどうお考えでしょうか。