日銀・黒田総裁会見4月27日(全文1)粘り強く金融緩和を続ける必要がある
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の27日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が記者会見(2021年4月27日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が記者会見(2021年4月27日) ◇ ◇
現状維持とすることを賛成多数で決定
読売新聞:4月幹事社の読売新聞の【トダ 00:01:47】です。よろしくお願いします。まずは本日の決定内容について、展望レポートを含めてご説明いただけますか。 黒田:はい。本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下での金融市場調節方針について、現状維持とすることを賛成多数で決定しました。すなわち短期金利について日本銀行当座預金のうち、政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利については10年物国債金利が0%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行います。 また、長期国債以外の資産の買い入れ方針に関しても、現状維持とすることを全員一致で決定しました。ETFおよびJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、年間約1800億円に相当する保有残高の増加ペースを上限に、必要に応じて買い入れを行います。CP等、社債等については、2021年9月末までの間、合わせて約20兆円の残高を上限として買い入れを行います。 本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って経済・物価の現状等先行きについての見方を説明いたします。
海外経済はばらつき伴いつつ、総じて見れば回復
わが国の景気の現状については、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から、引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は国、地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。そうした下で輸出や鉱工業生産は増加を続けています。また、企業収益や業況感は全体として改善しています。設備投資は一部業種に弱さが見られるものの持ち直しています。 雇用・所得環境を見ると、感染症の影響から弱い動きが続いています。個人消費は飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力の強まりから持ち直しが一服しています。金融環境については企業の資金繰りに厳しさが見られるものの、全体として緩和した状態にあります。 先行きについては当面の経済活動の水準は対面型サービス部門を中心に新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいく下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していくとみられます。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まる下で、わが国経済はさらに成長を続けると予想されます。 次に物価ですが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比を見ますと、感染症や既往の原油価格下落の影響などにより小幅のマイナスとなっています。また、予想物価上昇率は横ばい圏内で推移しています。先行きについては消費者物価の前年比は当面、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響などを受けて、小幅のマイナスで推移するとみられます。その後、経済の改善が続くことや、携帯電話通信料の引き下げの影響が剥落することなどから消費者物価の前年比はプラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくと予想されます。予想物価上昇率も再び高まっていくとみています。 前回の見通しと比べますと、成長率については内外需要の強まりを背景に、2022年度を中心に上振れています。物価については2021年度は携帯電話通信料の引き下げの影響により下振れているものの、2022年度はおおむね不変です。 ただしこうした先行きの見通しは感染症の帰趨やそれが内外経済に与える影響によって変わりうるため、不透明感が強いと考えています。今回の見通しでは感染症の影響は先行き徐々に和らぎ、見通し期間の中盤におおむね収束していくと想定しています。