市場で話題 日本株「金曜底」の法則とは?
日本株をめぐって投資家の間で話題になっているという、ある「法則」が話題になっているといいます。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストの解説です。 【グラフ】コロナ禍でも好調な業種がある? 世界経済で進む「二極化」
2020年以降、金曜は平均3820円下落
株式市場では、理論的に説明することはできないものの、何らかの法則や傾向が観察されることがしばしばあり、これはアノマリー(Anomaly)と呼ばれています。例えば、年初に機関投資家などが新規資金を投じるため、1月は株価が上昇しやすいという「1月効果」は米国で有名です。理論的な裏付けこそありませんが、結果的にそうなることが多いというものです。日本固有のものとして、十二支に対応する相場格言があるのも、そうした理由かもしれません。
最近、投資家の間で話題のアノマリーは日本株の「金曜底」と呼ばれているものです。そこで、この法則を検証するために2020年第1週から21年3月5日の週まで、曜日別の日経平均株価変動幅を集計しました。グラフをみれば一目瞭然。月曜(3378円上昇)と火曜(6227円上昇)の強さが際立ち、水曜日(1074円上昇)はまずまず。反対に木曜(1651円下落)と金曜(3820円下落)は弱さが目立っています。週の前半に増加した利益を、週末に向けて確定する傾向が顕著に浮かび上がっています。
理由は不明だが…考えられる3つの要因
正直なところ理由はよく分かりません。考えられる理由としては、この2、3月がそうだったように、米国の景気対策協議が土日に進展し、月曜のアジア株が堅調になるといった背景があったかもしれません。また毎月第1金曜日に発表される米雇用統計が2020年5月以降は予想比で堅調な結果になることが多く、週明けの日本時間に米国経済の回復期待が膨らんだことも影響した可能性があります。 そして、もう一つ考えられるのは「月末のリバランス売り」です。年金基金のように長期資金を運用する主体は、株式50%・国債50%といった具合に資産配分ルールを定めていることが多いため、株価上昇局面では、月末が近づくとポートフォリオ内の株式ウエートを引き下げる(一定に保つ)必要があり、株式を売却する傾向があると言われています。 2020年4月以降の株価上昇局面では、20年5、7、10月と、21年1、2月の月末最終営業日が金曜に該当し、これらの月は例外なく株価が下落していましたから、これが「金曜底」の一因になっている可能性があります。
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