ドンキさんマジか…商品に批判殺到→「その後の対応」が一枚も二枚も上手だった!
ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営する、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の売上高が2兆円を突破した。人気歌手ブルーノ・マーズを起用したCMも大きな話題を呼んでいる。ドンキの成長の裏には、突き抜けた「権限移譲」の文化と、顧客の声に真摯に耳を傾ける「マジ」な姿勢がある。(イトモス研究所所長 小倉健一) 【この記事の画像を見る】 ● ドンキの突き抜けた「権限移譲」 「お客様が若い方が多いので、私のような世代の人間だと、30歳、40歳離れた人の消費行動は想像がつきにくいです。他社と比べると一括で仕入れする量が少ない代わりに、お客様の行動の変化に気がつきやすい環境かもしれない」 NHK(7月11日)のインタビューにこう答えたのは、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス社長の吉田直樹氏だ。34年連続で増収増益を達成し、今年6月期には2兆円を超え、国内屈指の小売り大手となっている。 小売業界の異端児として知られるドンキは、吉田社長が「個の力」と称する革新的な「権限委譲」を企業文化の中核に据えた。 単なるディスカウントストアにとどまらず、顧客体験を重視した店舗づくりを推進する同社の成功の背景には、店舗スタッフやアルバイトにも権限を委譲し、現場の自由な発想を尊重する姿勢がある。冒頭のコメントも、経営サイドではなく現場がそれぞれ顧客のことを考えて仕入れることの重要性を説いているのだ。 ドンキの店舗ごとの特色は、権限委譲の仕組みから生まれている。例えば、渋谷や新宿の店舗は観光客が多いため、日本のお菓子や日焼け止めなどの土産物が売れ筋となっており、それに合わせた売り場作りが行われている。
● やたらと現場に口を出す上司 また、外国人観光客向けに、英語や中国語、韓国語のPOPも設置され、インバウンド需要に特化した売り場構成が整えられている。店長が地域のニーズを把握し、現場の判断で売り場の改良を進めることが可能なのだ。 他方、駅前にある錦糸町店や京急蒲田店では、駅を利用する学生や会社員をターゲットに、弁当やおにぎりといった商品がコンビニ感覚で購入できるよう工夫されている。 これらの柔軟な売り場構築は、店舗ごとに「一人の商売人」としての意識を持たせ、店長や担当者の独自性を尊重する権限委譲の制度が支えている。 しかし、日本企業全体を見渡してみても、「権限委譲」ほど難しいものはない。真面目な上司、真面目な経営者になればなるほど、自分の裁量を拡大解釈して、現場に口を出していくものだ。 優秀な人間であれば、それでもある程度は成長できるのであろうが、どこかで限界がきてしまうもの。限界がきて気づくのが、自分ばかりが試行錯誤を繰り返していたがために、会社を成長させようとする人材が育っておらず、「ウチには人材がいない」などと絶望するものだ。