『コナン』『フリーレン』…小学館マンガ部門の取り組み
3月にスタートした『フラコミlike!』
少女向けの『ちゃお』や大人向けの『フラワーズ』『プチコミック』など女性マンガを統括しているのが第一コミック局だ。昨年は『フラワーズ』連載作品の『ミステリと言う勿れ』が、ドラマ化映画化で大ヒットしたが、このところ一段落している。 『姉系プチコミック』で連載された『セクシー田中さん』のドラマ化をめぐって大きな社会的問題が起きたのは周知の通り。『セクシー田中さん』問題では第一コミック局の編集現場が独自の声明を出すなどした。 ちなみに前述したように今年の第69回小学館漫画賞は女性マンガといった区分を廃止したが、『フラワーズ』で連載中の『数字であそぼ。』が受賞4作品のひとつになっている。3月1日に開催された贈呈式では冒頭、小学館の相賀信宏社長が挨拶。『セクシー田中さん』問題に触れて、作家の皆さまに今後も寄り添っていくと決意を述べた。 少女・女性マンガは業界全体としてかつてのような大ヒットが出づらい状況の中で『ミステリと言う勿れ』の大ヒットは特筆すべきことだが、それに続くヒットとなるとどういう作品があるのだろうか。第一コミック局の吉田憲生チーフプロデューサーと井上拓生チーフプロデューサーに話を聞いた。 「いま話題になっている作品と言えば『ベツコミ』で連載中の『主人恋日記』でしょうか。1月に発売された第7巻を含めてコミックスとデジタルをあわせて累計200万部を突破しました。 小学館漫画賞を受賞した『フラワーズ』連載の『数字であそぼ。』も期待されています。女性マンガというより、男性が読んでも楽しめる作品ですね」(吉田チーフプロデューサー) 女性マンガはデジタルでよく読まれると言われるが、デジタルの世界ではますます性別や年齢といった垣根がなくなりつつある。そのデジタルコミックの整備に、第一コミック局では昨年来、局をあげて取り組んできた。 「第一コミック局の総合ポータルサイトとして、今年3月22日に『フラコミlike!』がローンチされました。今後はここを基点に作品が発信され、第一コミック局のデジタルのインフラがようやく整ったと言えます。 デジタルでは男性誌女性誌といったジャンル分けが意味を失いつつあります。作品のヒットがSNSでの話題から広がる例も多く、むしろ作品を紙の雑誌にとどめないことが大事です。 『ちゃお』の親世代が『フラコミlike!』の読者になってくるので、『ちゃおプラス』など既存のウェブサイトとの連携も今後整備していきます。小学館IDによってそれらはつながるのですが、『&FLOWER』や『モバフラ』といった既存のデジタル媒体もそれぞれ実績を持って運営しているので、それらは当面残します。これまでは各媒体によってばらつきもあったのですが、『フラコミlike!』ができたことで、今後は小学館が主導的にデジタルコミックの配信を行えるようになると思います」(同) 「昔は紙の雑誌で作品を知って、コミックスも読んでもらうという流れでしたが、今は紙の雑誌が厳しい状態ですから、デジタルで間口を広げていくことが重要です。紙とデジタルを共存させていくということですね。 『ちゃお』などの児童誌はまだ紙で読んでいる読者が多いのですが、高学年以降マンガを中心に読みたい読者はデジタルに移行していただこうと思っています。リアル書店が減っていって、子どもたちの生活圏の中でもリアル書店の存在が小さくなっている中で、子ども向けの雑誌も紙だけで考えるわけにはいかなくなりつつあります」(井上チーフプロデューサー)