コミック・文芸好調 講談社の今後の戦略
コミックが依然堅調なうえに、2023年は文芸書などのヒットが相次いだ講談社。文芸部門の好調は、この何年かの取り組みの成果だという。海外へ向けた自社のブランディングも次のステップへ。(編集部)
『ブルーロック』『転スラ』コミック部門の動向は…
コミックの売り上げが大きい講談社だが、2023年は文芸書などのヒット作も目に付いた。書籍全体の売れ行きはどうなのか、菅間徹出版営業局長に話を聞いた。 「コミックスの売れ行きでいうと前年に続いて『ブルーロック』が一番です。下半期は一段落しましたが、23年度年間累計では約950万部売れています。 2位が『転生したらスライムだった件』。この作品は4~5年ずっと上位におり、新刊が初版40万部台を保っています。『東京卍リベンジャーズ』も変わらず売れています。 新しいところでは『シャングリラ・フロンティア』が23年10月からアニメ化され、よく売れています。12月初めの時点で12巻の累計は138万部。12月15日に出た新刊は初版10万部以上です。 『ちいかわ』という、『モーニング』で連載中のキャラクターマンガも人気です。 以上がこの1年で、累計で100万部以上売れた作品です」 デジタルの売り上げも大きいのがコミックの特徴だ。 「『シャングリラ・フロンティア』はデジタルでも売り上げは好調です。特にアニメの放送が開始されてからはデジタルでの売り上げが大きく伸長しました。 ちなみにデジタルの売り上げ上位作品も、『ブルーロック』『転生したらスライムだった件』『東京卍リベンジャーズ』『シャングリラ・フロンティア』と、ベスト4は紙もデジタルも変わりません」(菅間出版販売局長) 異色なのは『ちいかわ』で、講談社からは関連書も出版されている。 「『モーニング』連載のコミックスはこれまでに6巻刊行していますが、関連書籍をあわせると全部で21冊出ています。変わったところでは、コミックスの特装版として御朱印帳も作製しました。 『ちいかわ』の最新刊は12月21日に第6巻を発売し、部数も20万部以上でスタートしています。『モーニング』は青年誌ですが、『ちいかわ』のコミックスはとても広い層に読まれています」(同) 次に伸びてきそうな作品はどういうものがあるのだろうか。 「マガジンポケットという電子アプリで連載され、週マガコミックスで出ている『薫る花は凛と咲く』が人気です。これまでに10巻出ており、売り上げも好調です。また、23年秋にアニメ化された『黙示録の四騎士』も売れています」(同)