光文社が推進するデジタル化と今後の行方
2023年、社長が交代し、これまで以上にデジタル化やブランディング確立を推進しようとしている光文社。プロモーション強化や新規事業など、今後の行方をうかがわせる動きも…
女性月刊誌4誌の連携を強化
光文社はかつて「女性誌王国」と言われたほど、女性月刊誌の強いラインを備えていた。この何年か、部数減に見舞われる中で、最も厳しい状況にあった『JJ』をウェブを強化して不定期刊行にする大きな方向転換の決断も迫られてきた。コロナ禍が一段落する中で女性誌への広告が戻りつつあることなど、取り巻く環境変化を受けて、2023年には幾つかの施策を行ってきた。『CLASSY.』『VERY』『STORY』『美ST』の基幹4誌を中心に、現状をライフスタイルメディア局担当の爲田敬取締役に聞いた。 「部数がダウントレンドな中で、発行部数を引き上げるためにわかりやすい付加価値として、ほぼ初めてですが、付録をつけることも始めました。10月(正確には『CLASSY.』は9月28日発売号)には4誌連合で付録をつけました。ちょうど乳がんの啓発運動ピンクリボンキャンペーンが持ち上がる時期なので、女性に自分自身をみつめて身体を大事にしてもらおうというメッセージとともにその関連の付録をつけました。 付録は雑誌ごとに異なりますが、基本、ピンクで統一しました。最も反響が大きかったのは『VERY』のピオヌンナルというバッグブランドのポーチでした。 キャンペーンのコピーは『VERY』の今尾朝子統括編集長が考えたのですが、 『自分をもっと抱きしめよう』というものでした。書店店頭での動画展示などでもそのメッセージを伝えました。 またラルフ ローレンというおつきあいのあるファッションブランドでも毎年、ピンク ポニーイニシアティブという、がん全般の啓発活動をやっているので、一緒にキャンペーンを行いました。 10月7日、神宮外苑でウォーキングイベントを行い、その後、トークショーを行いました。読者やラルフ ローレンのお客さん、各誌のモデルさんなど総勢200人に集まっていただきました。 このキャンペーンで売り上げが大きく伸びたかどうかは雑誌によって異なりますが、何よりも4誌が横串で連携できたことが重要ですね」 リアルのイベントはコロナ禍で少なくなっていたのだが、少しずつ復活しているようだ。4誌のうち『CLASSY.』は2024年4月が創刊40周年にあたり、1月からキャンペーンを始めるという。 コロナ禍が一段落して雑誌広告が復調しつつあるというが、以前と比べて変化はあったようだ。 「光文社は、紙の雑誌広告が強かったし、タイアップ企画もコロナ前に戻りつつあるのですが、広告をめぐる環境が変わったのは確かなので、並行してさらにデジタル広告にも力を入れるなどいろいろなことを考えていかなければと思っています」(爲田取締役)