『コナン』『フリーレン』…小学館マンガ部門の取り組み
デジタルアプリ「マンガワン」の好調
小学館のマンガ部門は第一から第四までのコミック局があるのだが、そのうち第四コミック局はコミック誌を出していない。「マンガワン」というデジタルのアプリと「ガガガ文庫」などのラノベやコミック関連書を扱っている部署だ。鳥光裕チーフプロデューサーに話を聞いた。 「小学館の女性向け作品では『ミステリと言う勿れ』に続くくらいよく読まれた『プロミス・シンデレラ』の連載終了後、作者の橘オレコ先生が引き続き『マンガワン』で昨年から『ホタルの嫁入り』という作品を連載しています。この新作が今、ものすごい勢いで、『電子コミック大賞2024』受賞や『全国書店員が選んだおすすめコミック2024』第1位に選ばれ、今年、小学館で一番伸びるかもしれない作品のひとつと言われています。デジタルコミックで女性の人気が高い、いわゆる令嬢ものですね。 また『ケンガンオメガ』など“ケンガンアシュラシリーズ”も、これは格闘技ものですが、海外でもかなり人気があって、海外からのファンレターもたくさん届いています。 そのほか2月からテレビ東京系列でドラマが放送された『ブラックガールズトーク』も第69回小学館漫画賞ノミネート作に選ばれ、人気が出ています。『闇金ウシジマくん』のスピンオフ作品で、『少年院ウシジマくん』という連載も好評です。『灰被り姫は結婚した、なお王子は』という女性向け作品や、『アフターゴッド』という作品も売れています。いずれも紙と電子合わせて10万部を超える勢いです。 『マンガワン』は連載作品数で言うと、『週刊少年サンデー』のような週刊誌のメジャーどころよりも多いぐらいの規模のメディアになっています。連載作品は基本的に紙のコミックスにしているのですが、注目作は発売してすぐに映像化のオファーが来るようになっています。 『マンガワン』では今、いわゆる縦スクロールコミックも掲載し始めています」 第四コミック局では、一昨年、縦スクロールコミックを担当する「コミックアライアンス事業室」を立ち上げたが、そこでの作品も増えているという。 「マンガワンは毎日100万人、月では300万人くらいの読者が訪れる、かなり大きな媒体になっています。 総ダウンロード数も昨年、3200万を突破しました。『ジャンプ+』『マガジンポケット』と並んで、出版社系ではトップ3に入っているのではないでしょうか。 昨年、最も売り上げを伸ばした非ゲーム系のアプリとして、グーグルから発表されました。このところデジタルコミックは市場全体としては伸びが鈍化していますが、その中では伸び率が高かったということですね」(鳥光チーフプロデューサー) 紙とデジタルの共存はこれからどうなってゆくのだろうか。