“ネクスト“天心vs武尊の格闘技興行目標は100億円突破…メイウェザーvs朝倉未来で海外PPV市場進出機会を狙う
「地上波とは、色んな意味で向き合っていきたいと思っているが、地上波に向けてコンテンツを作る時代は終わりを告げた。スポーツ中継の仕方が変わる。例えば、羽生結弦のショート(プログラム)は地上波、フリー(スケーティング)はPPVとかになる。それでも地上波の必要性はある。プロモーションのメディアとして地上波をどう活用するか」 地上波と縁を切るのではなく、地上波の持つプロモーション力を利用しながら、PPVとうまく融合させていきたいというのが本音だろう。 「日本で起きたムーブメントを世界で起こさせる配信環境が整ってきた。メイドインJAPANでもできる可能性を感じられた」 ゲート収入の約20億円も、世界の格闘技イベントでも群を抜く数字だった。榊原氏によると、UFCでも1大会のゲート収入は2億円ほどで、ダナ・ホワイト代表も「おったまげていた」という。先日、RIZINバンタム級王者の堀口恭司が登場したUFCに次ぐ総合格闘技団体「ベラトール」のハワイ興行でもゲート収入は7、8000万円規模だったという。英国のボクシング興行では、タイソン・フィーリー(英国)が、サッカーのウェンブリースタジアムに9万4000人もの観衆を集めたメガ興行があるが、日本の格闘技界のドーム興行は世界でも異例の規模なのだ。 榊原氏は、そこに“可能性”を見出す。 「日本は世界2位のマーケット。日本で十分に勝負できるが、それを力に変えて世界へどう打って出るか。世界へ向けてのチャレンジはどんどんやっていきたい」 榊原氏の言葉通り。100億円突破を狙うにはPPVの契約件数が100万件を超える必要がある。 史上最大の600億円を超える規模の興行となった2015年のメイウェザー対6階級制覇王者、マニー・パッキャオ(フィリピン)との対戦では、約1万円で販売されたPPVに約440万件の契約があった。日本のマーケットの規模を考慮すると海外でのPPV配信が肝になる。 実は、今回も天心vs武尊のPPV配信を海外の業者へ持ちかけたが、契約に至らなかったという厳しい背景がある。ネックになったのは、欧米でキックボクシングの軽量級への関心が薄いことと、日本のプライムタイムが、欧米では真夜中や早朝になってしまうという時差の問題があった。それでも「中国などでニュースとなり、“やっておけばよかった”という反響はある」と榊原氏は言う。 海外進出のためには時差の解消と欧米に人気のあるファイターをフックにする必要がある。その意味では、引退してもなお根強い人気があり、先日、米ボクシング殿堂入りを果たしたばかりのビッグネーム、メイウェザーを引っ張り出すことに成功した9月の朝倉未来戦が海外進出のチャンスだ。