なぜ3歳の皐月賞馬エフフォーリアが天皇賞・秋を制し4歳の3冠馬コントレイルが敗れたのか…横山騎手の手腕とスタートの誤算
3世代を代表する強豪が激突した「第164回天皇賞・秋」(東京芝2000メートル、G1)が31日に行われ、3番人気のエフフォーリア(牡3、鹿戸雄一厩舎)が1分57秒9のタイムで古馬との初対戦を制し、皐月賞以来のG12勝目を果たした。天皇賞・秋での3歳馬の勝利はシンボリクリスエス以来、19年ぶり4頭目となった。一方、1番人気のコントレイル(牡4、矢作芳人厩舎)は上がり最速のタイムをマークしたが、1馬身差の2着。昨年、7連勝で無敗の3冠を達成後に、まさかの3連敗となった。グランアレグリア(牝5、藤沢和雄厩舎)は3着で、3強馬の1、2、3フィニッシュとはなったが、何が今年の皐月賞馬と3冠馬の勝敗を分けたのか。
横山騎手が人生で初めてうれし泣き
3歳の若きチャレンジャーが持ち味を存分に発揮し、盾獲りに成功した。抜け出すときの脚の速さと、その後のスピードの持続力が持ち味のエフフォーリア。最後の直線で前にいたG15勝の5歳グランアレグリアをあっさりとかわすと、1歳上の無敗3冠馬コントレイルの猛チャージをも封じ込めた。 先週の菊花賞に続く2週連続のG1制覇となった横山武史騎手は「スタートは上手いですし、競馬も器用なので、僕は本当に余計なことをしないで馬の力を信じて乗るだけだと思いました。道中も理想的なポジションでしたし、変にインにこだわらないで、多少外を回ってもいい、という思いで乗りました」とVインタビュー。強気の競馬に徹し、それが功を奏した。 ウイニングランでは「ヨッシャー」と喜びを爆発させたが、その直後には1番人気でハナ差2着に敗れた日本ダービーを思い出し「人生で初めてうれし泣き」したという。 何が3歳馬を勝たせたのか。 騎手の勢いは見逃せない。 タイトルホルダーに騎乗した菊花賞では大胆な逃げ戦法で勝利した横山は、この日も好スタートを決めると、先行策に出たグランアレグリアを視界に入れながら慌てることなく6番手に構えた。前半1000メートル通過は60秒5のスローペースは想定内。絶妙のタイミングで仕掛け1番人気に支持されていたコントレイルに1馬身差をつけた。父の横山典弘が2009年にカンパニーに騎乗し優勝、祖父の横山富雄も1969年メジロタイヨウで制しており、史上初の親子3代での天皇賞・秋の制覇を果たした。