なぜ秋華賞で”純白のヒロイン”1番人気馬ソダシは歯が折れ10着に惨敗したのか
3歳牝馬3冠レースの最終戦「第26回秋華賞」(G1、2000m芝、16頭)は17日、阪神競馬場で4533人の観衆を集めて行われ、単勝1.9倍の圧倒的な1番人気に支持された桜花賞馬のソダシ(須貝尚介厩舎)は、10着に沈んだ。2分1秒2のタイムで優勝したのは、同馬主で父がディープインパクト、母が3冠牝馬アパパネという4番人気のアカイトリノムスメ(国枝栄厩舎)だった。絶好の2番手から最後の直線で馬群に飲み込まれたソダシは、なぜ敗れたのか。
最後の直線でまさかの失速
まさかの光景に4533人の競馬ファンのタメ息が阪神競馬場を包む。美しい白馬のソダシは、道中、絶好の2番手につけていた。前半1000mの通過は1分1秒2。ペースは決して速くない。 3コーナー過ぎから徐々に先頭をうかがうのがソダシの勝ちパターンである。どこで逃げるエイシンヒテンをかわし後続を完封するのか。多くのファンが、そうイメージしていた直線で、純白の馬体は、なんとズルズルと後退していった。馬券に絡むことさえできずに最後は馬群に沈み10着と惨敗した。 受け入れがたい結果。レース後、吉田隼人騎手、須貝尚介調教師がパトロールビデオを見ながらレース内容を分析した。 オークスに続く2度目の敗戦に吉田隼人騎手は気持ちを懸命に整理し「ファンのみなさんの期待に応えられず、申し訳ないです。ペースは決して速くなかったけれど、いつもの感じではなかった」と話したが、ショックは隠しきれない。 一方の須貝調教師は、「敗因は分析してみないと分かりません。レース後、厩舎に戻って確認したら歯が折れて、グラグラして血が出ていた。それが影響したかもしれません」と歯が折れるという予期せぬアクシデントがあったことを伝えた。 今回の秋華賞に向け、陣営は「年内ラストレース」と位置づけ、自信を深めて参戦していた。「この後、ソダシに向いた条件のレースがないんです。暮れの香港も考えたけれど、社会情勢から、ちょっとね」と須貝調教師。 このレースに全力投球の構えだったのだ。肝心のコンディションも良好で1週前には坂路で自己ベストをマーク。最終調整も実戦を想定し併走馬を3馬身後方から追い掛け、最後は1馬身半先着。「理想的、完璧だね」と騎手、トレーナーとも顔を見合わせ、うなずいていた。