なぜコントレイルはクビ差勝利で史上初の父子無敗3冠偉業に成功したのか?
中央競馬の3歳クラシックレース最終戦「第81回菊花賞(G1)」は25日、京都競馬場の芝3000メートルに18頭が出走して行われ、単勝1.1倍の1番人気に支持されたコントレイル(福永祐一)が3分5秒5のタイムで優勝し、デビューから7連勝。皐月賞、日本ダービーと合わせたクラシック3冠を史上3頭目となる無敗で達成した。首差の2着は4番人気のアリストテレス(クリストフ・ルメール)、3馬身半差の3着に5番人気のサトノフラッグ(戸崎圭太)が入った。 3冠馬は史上8頭目。無敗での制覇は1984年のシンボリルドルフ、父で2005年のディープインパクト以来。父子2代は初の快挙となった。騎乗した43歳の福永騎手はデビュー25年目、史上最年長で3冠ジョッキーの仲間入りを果たした。
語り継がれる大きなクビ差勝利
「クビ差」と記録される数十センチがコントレイルの強さを物語る。3冠クラシック最終戦。圧倒的1番人気に支持されたコントレイルはファンの祈りに応えるように最後の直線に入ると、先に馬群を抜け出した。だが、”遅れてきた刺客”アリストテレスが、その左からピタリと馬体を併せてきた。 壮絶なたたき合い。 勢いはアリストテレスが上回っているように見えた。1992年の菊花賞でライスシャワーに差されて3冠を逃したミホノブルボンを連想したファンもいたのではないか。 だが、コントレイルは並ばれても、決してクビを前に出させることを許さなかった。300メートルにわたっての壮絶なデッドヒートを制したのは、コントレイルだった。 「思った以上に接戦になり、相手の脚色も良かった。ずっと並走する形になり、まずいなと思ったが、何とかしのいでくれ、という気持ちで追っていた。それに馬が応えてくれ、最後まで抜かせなかった。あらためて凄い馬だと思った」 引き上げて来た福永騎手はマイクの前で安堵の表情を浮かべ、コントレイルの勝負根性と底力を称えた。 2枠3番からのスタート。スムーズにゲートを出て、最初の関門である3コーナーの上り下りをこなし、7番手のインを追走した。第2関門の1周目のホームストレッチも馬場の悪い部分を避け、流れに乗った。 だが、2周目の2コーナーを回った付近で異変が起きる。馬群の中でも冷静に走るタイプのコントレイルのフットワークが硬い。向正面では頭を上げる場面も。どこかリズムがおかしい。