緊急事態宣言が延長 「感染減少の加速」へ何に気をつけるべきか?
新型コロナウイルスの感染状況が依然として高い水準にある中、政府は2日、「緊急事態宣言」を東京都や大阪府など10都府県で3月7日まで延長することを決めました。宣言の延長にあたり、政府のコロナ対策分科会は感染対策のさらなる徹底と医療・検査体制の拡充を求める提言を提出。尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は「今はまさに感染対策に集中する時期」だと述べ、早期の経済再生のためにも感染の減少スピードを加速させる必要があると訴えました。 【動画】西村担当相と尾身会長が会見 「緊急事態宣言」10都府県で延長
●「昼夜問わず」2回繰り返す
緊急事態宣言の延長が決まった2日夜。菅義偉(よしひで)首相は記者会見で、宣言を発出した1月7日の全国の新規陽性者数7721人が2月1日には1783人まで減少したというデータを紹介し、「これまでの対策と国民の皆さんの協力により、はっきりとした効果が見えている。もうひと踏ん張りして、何としても減少傾向を確かなものにしなければならない」とあらためて国民に協力を呼びかけました。 その後に行われた記者会見で、尾身会長は政府への提言の内容を説明しました。 感染対策の徹底強化が必要だとして、クラスター(感染者集団)が多数発生している高齢者施設の職員を対象にした集中的な検査の実施や、自宅療養者らの健康状況をフォローアップするためのオンライン診療の活用、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターの貸与のほか、病床と医療従事者の確保強化などを政府に求めました。 その上で、「やはり一番の根本的な解決策は感染者を出さない。しかも感染減少のスピードを加速させることが重要だ。下がり(の速度)が緩慢になると『ステージ2』に行くのに(時間が)かかる」と述べ、国民にも今一度の協力を呼びかけました。 まず「これは一丁目一番地」として、不要不急の外出自粛の徹底を「昼夜を問わず」という言葉を2度繰り返しながら訴えました。 「もうしばらく、昼夜問わず、昼夜を問わず、不要不急の外出自粛・移動の自粛。移動はもちろん県外(がダメなの)は当たり前で、なるべく遠くには行かない」 さらに今回の緊急事態宣言下での対策の中心に据えられている飲食店などの営業時間の短縮については「随分と協力いただいている」と謝意を示し、より効果を上げるには、まだ不十分だと思われる店舗などに行政などが個別巡回などをすることなどを提案。事業者に「営業時間の短縮は今後も続く」として、デリバリーやテイクアウトの強化を働きかけることも挙げました。 テレワークの徹底についても、コロナ後の新しい生活様式という観点からも「もうちょっとやってもらいたい」と協力を求めました。 尾身会長がより強く訴えたのは、大学や高校など学校生活のイベントに関する協力でした。「実は大学は授業でうつるということはなくて、やっぱり一番は部活動だ」と指摘し、今の時期は感染リスクが高いので部活動はなるべく控えるようにしてほしいとしました。 さらに年末年始の感染急増は忘年会や新年会、成人式後の会食の影響があるとした上で、「謝恩会や卒業旅行は控える。人生で1回のことだが、卒業式も人数を制限する」ことを提案しました。 昨年来、急増している民間PCR検査についても言及。こうした「自費検査」には課題もあるといい、検査の品質管理が十分ではない点や陽性者が必ずしも報告されていない点などを挙げ、こうした問題に国が主体的に関与することを求めました。