【認知症の現実】「物が届いた時には買ったことを覚えていない」 ある日息子が大量の通販の請求書を発見 夜中に徘徊して帰れなくなることも・・・それでも要介護認定が受けられない!?
■認知症でまず困ったのは「薬の管理」と「徘徊」
Aさんの父親はすでに高血圧と糖尿病の兆候があり、認知症を患ったことでこれらすべての治療を開始することになりました。ただここで認知症がジャマをします。薬を処方してもらっても飲むことを忘れてしまうのです。飲むことを忘れるだけでなく、飲んだことも忘れてしまうので、放っておくといっぱい飲んでしまい、ある時は3日で2週間分を飲んでしまったこともあるんだとか。 それ以来、曜日ごとにわけた「お薬カレンダー」を壁にかけ、さらに事前に入れておくのは3日分までにしたそうです。2日おきぐらいに実家にやってきて薬を補充しています。 また、徘徊にも困ったと話します。父親がゴルフ練習場に行こうとした時のこと。夕方に家を出発。しかし、途中で道がわからなくなり、さらに帰り道もわからなくなり、なんとか見つかったのは翌朝7時だったんだとか。
■中古品買取業者からの”営業電話”で大問題が
今年3月、新たな問題が起きました。ある日、Aさんが実家に帰ってみると家の中のものが一部なくなっていたのです。何事かとリビングのテーブルを見てみると、明細書のようなものが。どうやら、父親が知らぬ間に中古買取業者に売ってしまったようでした。さらに話を聞くと父親は業者からかかってきた、いわゆる営業電話に「売りたい物がある」と答えていたようなのですが、いかんせん、父親はその電話があったことも覚えていません。 今回は買取契約締結から日が浅かったためAさんがクーリングオフを申請し、いったんすべてを返してもらいました。返ってきた品々を見てみると、父親のゴルフクラブに亡き母の着物の帯、Aさんが愛用していたカメラもありました。
中古買取業者の方に話を聞いてみました。 (記者)「お父さんが認知症だということには気付きませんでしたか?」 (買取業者)「正直、認知症とはわからなかったです。ハキハキと対応していただきましたので。最初に電話をさせてもらったアポインターからも特に気にならなかったと聞いています」 (記者)「業界の中で今回のAさんのようなケース、認知症の人が勝手に売ってしまったというケースは聞いたことがありますか?」 (買取業者)「聞いたことはあります。他社さんでも、契約が終わったあとに『実は娘のものなのに、息子のものなのに』という形でクーリングオフで返してくれとなった話は聞きました。最初にちゃんと受け答えができるかどうかというのは確認するんですが、認知症の方は日によって状況がかわるようなので、そこらへんはなかなか判断が難しいところです」
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