「合鴨」の名付け親! 命を育て、生食でもいただける…極上の大阪ブランド「河内鴨」
松阪牛や神戸牛、名古屋コーチンや比内地鶏(ひないじどり)など、グルメ大国日本には数々のブランド肉がある。我が大阪を代表するブランド肉は、何といっても「河内鴨(かわちがも)」だ。豊臣秀吉の好物だったこともあり、大阪では古くから食べられていた鴨。抗生物質や成長ホルモン剤などの薬を一切使用せず、生で食べることができる極上の合鴨肉を日本で唯一生産しているのが、大阪府松原市にある河内鴨ツムラ本店だ。 【写真】山手線で2番目に新しい西日暮里駅は「鉄道のワンダーランド」
「合鴨」の名付け親
西名阪自動車道と阪和自動車道の起点かつ、近畿自動車道と阪神高速14号松原線の終点でもある「松原ジャンクション」は、大阪南部の交通の基点となっている。そこから10分ほど歩いた住宅街の中に、河内鴨ツムラ本店がある。1870(明治3)年創業の老舗合鴨生産者だ。 「アイガモ農法」などでもよく聞かれるようになった、合鴨(あいがも)という呼称。家畜化された鶩(あひる)と野生の鴨をかけ合わせた鳥を「合鴨」と名付けたのは、ツムラ本店代表取締役で5代目・津村佳彦(よしひこ)氏の祖父なのだそうだ。 「鶩は、水かきのついた足が大きくて広いことから、足広(あしひろ)、転じてあひると呼ばれるようになったと言われています。江戸時代ごろには『あ』が取れて、『ひる』と呼ばれたり、河内あたりでは湿田で飼われていたので、『泥田あひる(どろたびる)』と呼ばれていました。鶩と鴨をかけ合わせた鳥を『あひるがも』と呼んでいましたが、1945(昭和20)年ごろに、祖父が『合鴨(あいがも)』と名前を付けたんです」(津村佳彦氏) 鶩と鴨、そして合鴨の区別については2009(平成21)年9月、一般社団法人日本食鳥協会と、同協会顧問で京都産業大学名誉教授の駒井亨(りょう)博士、そして合鴨生産者らの協議により、空を飛んだら鴨、家禽化されて空を飛ばないものが鶩、その鶩を食肉用に加工したものを合鴨、とした。鶩と鴨は交配が進み過ぎて種としてはほぼ区別がつかず、飛ぶ・飛ばないで区別するとしたのだそうだ。ツムラ本店では、チェリバレー種を元に独自交配した自家飼育の合鴨を、「河内鴨」の銘柄で商標登録している。