嘘だろ…奨学金が間に合わない?年収700万円・48歳会社員のあまりにも楽観的すぎた誤算。「すまん、働いてくれないか?」と専業主婦の妻と息子に頭を下げたワケ【CFPの助言】
今年高校3年生の息子を持つ拓也さん(48歳)は子どもの大学進学のために奨学金を利用しようと考えていました。しかし、奨学金の制度には知らなかった落とし穴があったのです。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、奨学金の仕組みについて解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
息子の大学進学に向け、奨学金の申し込みをしようとしたところ…
年収700万円で専業主婦の妻、高校3年生の息子と地方都市に住んでいる拓也さん(48歳会社員)。息子は県外の大学への進学を希望しています。しかし、県外の私立大学に通学するとなると、大学の授業料のほか、下宿代など自宅外ならではの費用がかかります。 拓也さんは高校から私立に通うことも想定し、学資保険の満期を15歳に設定していました。結局、公立高校に通ったものの、参考書代や大学受験のための塾の費用などが予想以上にかかり、学資保険の保険金はほぼ残っていません。 そのため、大学進学の費用については奨学金を利用しようと考え、子どもと一緒に説明会に参加し、奨学金を申し込んだのです。申込後、日本学生支援機構から高校を通じて採用通知が届いたものの、ある事実を目の当たりにして愕然としてしまいました。
奨学金の振込開始は大学に入学してから
採用されてからの手続きの内容を読むと、奨学金が振り込まれるのは大学に入学してからと書かれています。確か説明会の際にそのようなことをいっていたような気がしますが、すっかり忘れていた拓也さん。 つまり、これから必要となる受験代や受験にかかる費用、さらに入学金や前期の授業料など、入学前に必要なお金は自分で用意しなければならないのです。 焦った拓也さんは何とかお金を工面する方法はないかと探し始めました。
国の教育ローン
国の教育ローン※とは、日本政策金融公庫が行っている教育一般貸付のことで最大350万円(一定の要件を満たすと450万円)までを年2.35%(2024年11月時点)の固定金利で借りられるものです。返済期間は18年以内と長く、さらに在学期間中は利息のみを支払う元金据置も利用できます。 年収に上限が設けられているものの、条件をクリアしていたため、拓也さんは早速国の教育ローンに申し込みました。借入額は最大の350万円です。 子どもが理系の学部に進学したため、入学金や前期授業料のほか、下宿代や下宿に支払う敷金や礼金、引越し費用、下宿に必要な家具の購入費用などを含めるとそれでもやっと支払える額でした。 銀行にも教育ローンがある 銀行にも同様に教育ローンがあり、そのサービス内容は銀行によって異なります。銀行の場合、国の教育ローンと異なり、最低でも年収が200万円以上など安定した収入があることが借りる条件です。 しかも、変動金利のものが多く、国の教育ローンよりも低い金利で借りられるところも多くあります。また、必要な額を一括で借りる方法と、借入限度緒が設定され、その範囲内で繰り返し借り入れや返済が行えるものもあります。