「合鴨」の名付け親! 命を育て、生食でもいただける…極上の大阪ブランド「河内鴨」
最後の晩餐に食べたい河内鴨
大阪産(もん)として大阪ブランドにも認定、2019(令和元)年のG20大阪サミットの正式食材にも選ばれた河内鴨。名実ともに大阪を代表する食材だが、品質にこだわる理由について、改めて聞いてみた。 「ずっと前の話です。アトピーがひどいお子さんを連れて、うちの店に来てくれたお母さんがいてはってね。その方が『うちの子はどんなお肉を食べさせても、アトピーやアレルギー反応が出るんですけど、ここのお肉だけはそれが出なくて、安心して食べさせることができるんです。子どももすごく喜んでお肉を食べてくれるので、買いに来させてもらっています』と言ってくれたんです。嬉しかったですね。その言葉を聞いて、もっと頑張ろう、もっとこだわってやっていこう、と思いました」(津村氏) 和歌山や京都、奈良、名古屋から車を飛ばしてやってくる常連客もいる。中には、「最期にもう一度、河内鴨が食べたい」と、点滴をしながらタクシーに乗って買いに来られた方もいたそうだ。他の合鴨肉に比べると少し値は張るかもしれないが、多くの人が河内鴨の美味しさと、食べものとしての安心さに魅せられている。
50年、100年続くように
津村氏は、河内鴨の飼育方法など、長年培ってきたノウハウを、全て同業者にオープンにしている。その理由についてもお聞きした。 「全国で鴨を扱っているところは今や10数軒しかないんです。私がこの世界に入ったときは、大阪だけでそれくらいあったんです。これ以上減ったら産業として成り立たないから、同業者に技術を伝えることで、業界として生き残りを図っています。 商売は、いい時も悪い時もある。この先、うちの息子や孫が困るようなことがあったら教えたってほしい。その代わり、今は全部教えるからって思うんや。お互い様やん。でもね、全部教えるけど、全て同じように真似できる人はおれへん。そんなしんどいこと、まぁでけへんと思うよ」
命を育て、命をいただく
ツムラ本店では、地元の小学生を招いての見学会の他、松原観光協会とも協働して随時、見学会も受け入れている。都市部である松原市内で生きものを育て、生産していることの理解を深めていくと共に、命をいただくことの大切さを伝えたいと考えている。 私たちは、食べることで命をつないでいる。けれども、その食べものがどうやって自分の口に入るようになるのか、その過程を知っておくべきだ、いや知らなければならない。 食の安全とは何か、食べるとは何なのか。命を育て、命をいただくとはどういうことか。 そんなことを深く思った。 河内鴨ツムラ本店 〒580-0005 大阪府松原市別所8-10-24 電話:072-334-1111 FAX:072-331-8731 営業時間:9:00~17:00 定休日:日曜日 特別休暇(夏季・年末年始) https://www.kawachigamo.com/ (オンラインショップ) https://www.eat-1.info/ 蕎麦・料理・お酒 藤乃 〒553-0003 大阪市福島区福島3-9-10 電話:06-6456-2400 営業時間:11:30~14:00 17:00~22:00 https://www.fuji-no.jp/
関真弓