両親反対も「どうしても乗りたい」 18歳の女の子が心射抜かれて…愛車は一世風靡した1台
普段は2トントラックのハンドルを握って安全第一で仕事にまい進
両親の反対を受けながらも、「どうしても乗りたい」を実現させた。免許を取ったばかりの18歳の女の子が心を射抜かれた車種、25歳になった今では大切な愛車になっている。その名前を聞くと、懐かしさを覚えると共に、年齢とのギャップにちょっとびっくり。女性トラックドライバーが情熱を注ぐカーライフとは。(取材・文=吉原知也) 【写真】ピカピカボディーが映える“ひと目ぼれ”の愛車 「高校を卒業してすぐに免許を取って、当時の先輩が乗っていたのが、この子なんです。乗せてもらって、ひと目ぼれでした」 25歳のこころさんがいとおしそうに目線を送るのは、日産ステージア。一世を風靡(ふうび)したステーションワゴンだ。 昨年11月に東京・秋葉原で行われた“車女子の祭典”ガールズカーコレクション(GCC)で、青森・八戸の遠方から初めて参加。今ではレトロさを醸し出す愛車は異彩を放ち、表彰にも選ばれた。 バスは2時間に1本、電車も1時間に1本。そんな地方の車社会で育ったが、子どもの頃は車に一切興味を持っていなかった。免許を取り、生活や仕事で車に乗るようになり、一気に目覚めたという。 初めてのマイカーは、初代のトヨタ bB。一気に車の楽しさにのめり込んだ。 18歳の時に魅了されたステージアにはすぐに乗りたかったが、日産ではない自動車メーカー関係に就職したことで、日産車はお預けに。転職を機に、ステージアへの思いが再燃したが、当初は両親に反対された。「年式が古い車に乗ると、壊れた時に部品が出てこないから乗るのが大変だよ。そう言われました」。1996年に登場し、2007年で販売終了となった車種だ。もちろん、両親がリスクを心配する気持ちはよく分かった。 一度は断念してスズキ・ジムニーに乗り替え、ハンドルを握る喜びを深めていった。 2年前に意を決した。いよいよステージアの購入だ。2000年式の個体を見つけた。理想に描いていたモデルとは少々仕様が異なるが、ジムニーを手放す当時のタイミングで最良のものだった。「親には何も言わずに買いました(笑)」。自分でお金を払い、しっかり整備して乗っていくことを自らに誓った。 あこがれの1台をゲットできたことで、自分流にカスタム。「外装はフロントバンパーとリアのアンダーは純正オプションです。サイドステップは前期用のもので、グリルは違うグレードのものを取り付けています」と熱く語る。父親世代の人と話すと「懐かしいね」と言ってもらえる。「私たち世代はみんな、この車のことは知りませんが(笑)。去年から地元のカーイベントに出るようになって、こうして東京のイベントにも参加させてもらうことができて、多くの人にステージアのことをもっと知ってもらえればうれしいです」と満面の笑みを見せる。 寒さ厳しい八戸での車の維持。冬の時期は雪よりも、路面凍結に気を付けなければいけないという。「急発進、急ブレーキ、急ハンドルをしない。安全運転を心がけています。車体のサビ止め・サビ対策も万全にしています。路面の融雪剤が飛び散って車体下部に残ってしまうとサビの原因にもなるので、小まめに整備しています」と語る。現在の職業はトラックドライバーの運送業。日々2トントラックのハンドルを握り、荷物と共に、人懐っこい笑顔を届けており、安全第一で仕事に取り組む姿勢は人一倍だ。 「彼氏も日産車乗りなので、一緒に車の整備について学んでいます。この子を直したり、いじったりするために仕事を頑張る。これが私の生きがいになっています」。 それに、「車が壊れて乗れなくなるなどのよっぽどのことがない限り、このステージアを手放すつもりはありません!」。爽やかな声が響き渡った。
吉原知也