国の予算はどう作られているのか? 行政学者が解説
「予算編成」とは?
国の予算編成は内閣の専管事項とされ、予算案の提出権は内閣のみにあって議員にはない。内閣が毎年予算案を作成し(実際の事務は財務省が担当)、国会に提出している。 地方自治体の場合、国の合議制の内閣と異なり、予算編成権は首長の単独権限とされている。自治体の長は「予算を調製し……」と法律に規定されているが、一般に予算編成と同義だ。 予算とは「一定期間における収入と支出の見積り又は計画」のこと。かみ砕いて言えば「一定期間中の財政計画であると同時に、住民の納めた税金がどう使われ、還元されようとしているかを示す一種の行政計画」だ。その年の施策一覧とも言える。だから予算の決定については、住民の代表である議会に議決権を持たせ、決定後は予算が公表されるよう義務付けられているのである。
予算編成の流れ
予算編成作業はいつごろから始まり、いつ終わるのだろうか。 国の場合、各省庁は5月頃から次年度の予算要求の作業を始め、新規政策の立案や既存施策の見直し作業に入る。首相の諮問機関である経済財政諮問会議の「骨太の方針」という予算編成の大枠(6月か7月に出される)の考え方をもとに、7月下旬には新年度予算の概算要求基準が閣議決定され、その通知をもとに、各省庁の予算編成作業は本格化する。 各省庁では課から局へ、局から省への要求積み上げ作業を行い、与党の政調会各部会らと調整しながら、省庁としての予算の骨格を決めていく。並行して財務省主税局は税収などの歳入見積もりを作成していく。そして、8月末までに財務省に概算要求書を提出する。 それを受け、財務省は、9月1日から予算査定のためのヒアリングを開始。この9月から政府案の決まる12月下旬までの4か月間が財務省主計局にとって予算編成の本番で、財務省は“不夜城”とも言われる多忙な時期を迎える。 財務省では、9月1日から2~3週間、各省庁担当幹部から説明を受け、その後に予算査定作業に入る。