“コロナ慣れ”の第3波 専門家が語る「いまなすべき対応」は
新型コロナウイルスの第3波の流行拡大を受け、政府は特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を11都府県に拡大した。大都市圏から「全国に感染が広がる前に対策を講じる必要がある」との判断だった。13日に行われた会見で、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は、過去最大の感染拡大が止まらず、“コロナ慣れ”も指摘される状況の中で、行政と国民、そして専門家に求められる対応について語った。 【図表】「8割削減」「日本モデル」…第1波「緊急事態宣言」解除までを振り返る
宣言出す状況では時短だけでは下火にできない
2度目の「緊急事態宣言」下のいま必要な対策を、尾身会長は明確に語った。 「もっともやるべきことは昼夜を問わず、外出をなるべく控えることだと思う」 昨年春以降のコロナ禍による国民の「コロナ疲れ」「コロナ慣れ」によって「協力が得られなくなった」と振り返り、いくつかの理由を述べた。 「このウイルスの特徴で、感染しても比較的無症状、軽症の人が多い。これが4月に比べて分かった」 「長い間自粛しているので、いわば辟易感があった」 「いまは緊急事態宣言が出たことでなくなったが、一時、国と自治体の一体感が必ずしもなかった」 昨春の「緊急事態宣言」時に、政府は人と人との接触を「最低7割、極力8割」減らす目標を掲げ、国民に外出自粛などの徹底を呼びかけた。
第3波の流行を受けた今回の宣言で、菅義偉(よしひで)首相は、これまで1年近くのコロナ対策の経験をもとに限定的で効果的な対策を目指すとして、 (1)飲食店などの午後8時までの時間短縮営業 (2)テレワーク推進による出勤者数7割減 (3)特に午後8時以降の不要不急の外出自粛 (4)スポーツ観戦、コンサートなどのイベントの入場制限 の4本柱の対策を掲げている。そのうち、特に飲食を介した感染リスクが高いとして、飲食店などの時短営業に注力する。 この時短については、菅首相が大阪や札幌での取り組みを成功例として取り上げてきた経緯がある。尾身会長も「万能薬ではない」と注釈をつけつつ、「時短というものが、(昨年)夏の頃から一定程度、効果があったということは明確になっている」と認める。 「しかし」と続けて「今回の緊急事態宣言を出すような状況では、それだけでは感染を下火にできない」。上記の4本柱を「総合的に」取り組む必要があると強調した。