【Q&A】「緊急事態宣言」とは?
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は昨春の「第1波」の際に「緊急事態宣言」を出しました。そして、昨年11月ごろから感染者が増えている現状を受け、菅義偉(すが・よしひで)首相や西村康稔(やすとし)経済再生担当相、東京都の小池百合子知事らは会見などで「緊急事態宣言」に触れることが増えてきました。ニュースでも見聞きする機会がある「緊急事態宣言」ですが、どのような内容で、宣言が出ると市民生活はどう変わるのでしょうか。
Q:政府による「緊急事態宣言」とは?
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく宣言で、発出するには(1)国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある(2)全国的かつ急速なまん延により国民生活・国民経済に甚大な影響を及ぼす、あるいはその恐れがある――の2要素が認められる必要があります。
Q:昨年春にも「緊急事態宣言」は出されていたよね?
はい。政府は昨年4月7日に「緊急事態宣言」を発出しました。出すにあたって、(1)期間(2)区域(3)緊急事態の概要――を示す必要があります。当初、期間は5月6日まで、対象区域は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県とされました。 その後、全国的に感染者が増加し、一部知事らが緊急事態宣言の対象地域に含むよう求めたことなどから政府は4月16日、対象区域を全都道府県に広げました。
Q:いつまで続いたの?
当時の安倍晋三首相が5月4日に記者会見で「まだ感染者の減少が十分なレベルとはいえない」として、全国を対象に期限を5月31日まで延長しました。しかし、14日には新規感染者が大幅に減少したことなどから、39県を緊急事態下から解除。さらに21日には大阪府、京都府、兵庫県を対象から外しました。 北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉の5都道県は25日に解除されました。
Q:対象になった区域での生活はどうなるの?
「緊急事態宣言」が発出されると、対象となった都道府県の知事は、(1)住民に対する外出自粛の要請(2)学校、映画館、劇場、音楽ホールや人が集まる施設の使用制限(3)仮設病院を設置するための土地収用――などのより強い措置が取れるようになります。 一方、国民の自由(私権)を制限することにつながるため、宣言を出すことについては慎重であるべきとの声もあります。