補足「私を監督にする球団オーナーが、どこにいるの?」 そう言っていた落合博満に白羽の矢を立てただけでなく、コーチの経験すらないのに現場の全権を与え、中日ドラゴンズに黄金時代をもたらした白井文吾オーナーの功績は計り知れない。特に2004年は、オリックスと近鉄の球団統合に端を発し、球界初のストライキも実施される球界再編のうねりの中で、1年目の落合監督を支えてリーグ優勝を果たした。落合曰く「負けるのが本当に嫌いな人」が築いた強いドラゴンズは、球団フロントとユニフォーム組の理想的な関係性も示したと感じている。また、そんな落合監督の8年間に、自らピリオドを打たざるを得なかった時の無念そうな表情は強く脳裏に焼きついている。井上一樹監督が率いる新生・ドラゴンズには、そんな白井オーナーが安心して見られるようなチームを作ってもらいたい。ご冥福を心からお祈りいたします。
コメンテータープロフィール
1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。
関連リンク(外部サイト)