見解中学、高校と他のスポーツに打ち込んでいた青年が、大学で野球に取り組み、東京六大学でベストナインを獲るまでに成長したのは本当に素晴らしいことだ。また、明大戦の同点本塁打を思い返すと、チャンスがあればプロでも大成するのではと夢を見てしまう。だが、そこには球史に残る大打者・清原和博の長男だからという前提があるのも確かだろう。冷静に清原正吾の4年間の成績を見れば、挙ってメディアが取り上げるほどの数字ではない。一方で、プロがドラフト指名を決断するのはどんな選手かと言えば、即戦力にせよ将来性に投資するにせよ、「彼しかいない」という要素を何か備えているからだ。そうやって考えれば、残念だけれどドラフト指名がなかったことは不思議ではない。そして、報道を通じて見られた清原正吾の人物像は、プロを目指す多くの選手にいい意味で「人生は野球だけではない」ことを示すものだったと思う。
コメンテータープロフィール
1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。
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