時速194キロ死亡事故 危険運転、被告の男「わかりません」 弁護側「制御困難な高速度に該当せず」と主張 大分地裁初公判
争点は「危険運転」か「過失運転」か
大分市の県道で3年前、時速194キロで車を運転し、対向車に衝突して男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われている当時19歳の男の裁判員裁判初公判が大分地裁で開かれ、危険運転について男は「そのようなことについてはわかりません」と述べ、弁護側が危険運転は成立しないと主張し、争う姿勢を示しました。 【写真を見る】事故当時の現場、大破した2台の車 起訴状によりますと、2021年2月、大分市大在の県道で当時19歳の男(23)が時速194キロで車を運転して右折中の対向車に衝突し、小柳憲さん(当時50歳)が死亡しました。 大分地裁で5日から始まった裁判員裁判の初公判で、裁判長から危険運転について問われた被告の男は「そのようなことについてはわかりません」と述べました。このあと弁護側は、「制御困難な高速度に該当せず、妨害する目的もなく危険運転は成立しない」と主張し、争う姿勢を示しました。 冒頭陳述で検察側は、「194キロでの走行は車体が大きく揺れる。ハンドルやブレーキの操作の回数が増えて少しのミスで操作を誤ることがある。夜間の194キロの走行は視野、視界が狭くなり、右折車に気づくのが困難」と主張。 また、妨害については、「自分の運転で相手に急な退避行動を取らせ、自由で安全な運転を妨げることも妨害行為となる。現場の道路は、右折車があることを前提とした道路で、対向車への認識は当然ある。時速194キロの停止距離は265メートルで、衝突を回避できないほど常軌を逸した高速度で直進していた」と指摘し、危険運転にあたると述べました。 一方、弁護側は「ハンドルがブレたり、制動ができなくなったり、そういったことはなかった。実際に衝突をするまで、意図した通り車を車線から逸脱することなく直進走行できた。自分自身の生命や身体の危険を冒してまで対向車線の右折車両に対して通行を妨害する目的を積極的に抱く動機はない」などと主張。 また、「法律では、高速度だけでは危険運転にならない。夜間194キロの走行が視野の低下に繋がる科学的根拠はなく、検察は訴因変更した理由も明らかにしていない。法律に従い、『過失運転致死』によって被告人を処罰してほしい」と述べました。