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富坂聰

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拓殖大学海外事情研究所教授

報告

見解新たな事実を見つけ出したことは評価されるべきだ。ただ元中国籍の日本人を含めてスパイ容疑で日本人の逮捕が相次いだのは2015年から17年に集中し、当時の話を以て現在の中国を語るのは適当でない。また香港国家安全維持法の時と同じく域外適用を中国の特殊性と結び付けているが、日本にもある点に触れていないのはなぜか。中国はアメリカとの対立激化の過程で関連法規を整えてきた。すでに南シナ海で激しく対立していた両国が安全分野で無風のはずはない。習政権はこの分野での攻防の激化を想定し、その反応が日本にも飛び火した形だ。中国社会が息苦しくなってゆくという問題はあるが、過剰な取締りだと判断するには材料が少なすぎる。「習近平指導部の強硬姿勢の浮彫」との批判を避けるため、見て見ぬふりをするという選択肢は中国にはない。むしろ中国が批判されるべきは、容疑について具体的な情報を公開しない点だ。それが無用な恐怖を煽っている。

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コメンテータープロフィール

富坂聰

拓殖大学海外事情研究所教授

1964年愛知県生まれ。北京大学中文系中退後、『週刊ポスト』記者、『週刊文春』記者を経て独立。ジャーナリストとして紙誌への寄稿、著作を発表。2014年より拓殖大学教授。

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