【解説】どうなる石破外交?米国・中国・韓国…3つの視点でひもとく2025年の展望
2025年、世界はアメリカのトランプ次期大統領を中心に回る。新たな世界秩序を描くトランプ氏に石破首相はどう向き合うのか?関係改善の兆しも見えてきた中国との距離感は?“大統領弾劾”で揺れる韓国との関係は?2025年の石破外交を展望する。(政治部 外務省担当 鈴木しおり) 【動画】石破首相“外交デビュー” 各国との首脳会談“一挙手一投足” を検証【バンキシャ!】
■トランプ次期大統領とどう向き合う?――日米首脳会談は“センシティブな問題”に
2025年1月20日にアメリカ大統領に返り咲くトランプ氏。日本政府内には「防衛費の増額を求めてくるのではないか」「関税引き上げは交渉カードの1つにするつもりだろう」といった警戒感が広がっている。ある外務省幹部は、安倍元首相とトランプ氏の蜜月関係を振り返り「プレーヤーも状況も異なるのだから同じシナリオで進めることはできない」と話す。「新しい信頼関係を築いたうえで、トランプ氏に日米連携にメリットがあると伝え続けることが重要だ」(外務省幹部)。 石破首相は2024年11月中旬の南米訪問にあわせてトランプ氏と対面での会談を模索。しかし、トランプ氏側から「各国から会談要請が殺到していて調整がつかない」などと伝えられ、会談は実現しなかった。 その後、トランプ氏は11月末にカナダのトルドー首相と、12月上旬にはフランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相とも会談。ある外務省関係者は「G7首脳のなかで石破首相だけがトランプ氏と会談できていないとなれば見ばえが悪い。この問題が省内で“センシティブ”になっている」と打ち明ける。 一方、外務省幹部は「これまでのトランプ氏と各国首脳との面会は、行事に合わせて短時間接触したケースか、話し合うべき懸案事項を抱えているケースだ」と指摘。そのうえで「日本としては落ち着いた環境で正式な会談を目指すべきだ」と強調した。 12月中旬に事態が進展する。トランプ氏側が「1月中旬であれば会談に応じられる」と日本側に伝達。外務省内では「就任後の正式な会談が望ましい」との意見が根強かったものの、トランプ氏の意向を受けて、いったんは1月下旬の国会召集前の訪米に向けた調整に入った。しかし結局、2月以降の早い時期で再調整に入ったという。20日にはトランプ氏の大統領就任式があり、ある政府関係者が「正式に大統領になった後がよい」と話すなど、正式な首脳同士として会談したほうが良いと判断したとみられる。