提言この「森のお墓」を設ける際に取材している。もともと墓地として申請しようとしていたら、散骨ならいらないと言われたのは事実で、厚労省の人も加わって検討したと聞いた。ただし通常の散骨は、遺骨を粉にして地表に散布するが、この記事の写真によると、まだ骨の形を残している。やはり骨の形に見えないレベルまで小さくすることが望まれる。なお自然葬とは散骨のことであり、樹木葬とは違う。ただどちらも故人を自然界に還ることを願うもので、森に埋葬もしくは散骨する場合は、遺骨が直に土壌に触れるようにしなければならない。また墓標も樹木か木製などで将来は自然に還るものにする。ところが現在各地に生まれている樹木葬を標榜する墓地の多くは、コンクリートのカロートを設け、また石のプレートを墓標としている。これでは自然に還らない。また永代供養を謳っているが、将来の合葬などの際に遺骨の扱いなどが問題になるのではなかろうか。
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コメンテータープロフィール
日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、自然科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然と人間の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』『虚構の森』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は明治の社会を揺り動かした林業界の巨人土倉庄三郎を描いた『山林王』(新泉社)。