補足ここで示されたのは樹木だけだが、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)は、現状を放置し続けると地球上の全動植物の8分の1ほどにあたる約100万種が、数十年以内に絶滅する可能性を指摘している。このような生物多様性の危機は気候変動と並ぶ地球環境の危機である。これが食料や水などの調達を難しくし、世界的なパンデミックの発生も引き起こすとされる。それをなんとか押しとどめようと「ネイチャーポジティブ」策が国連で求められ、2030年までに国土(陸・水域両方)の30%を保全地域に指定することを求める「30by30」も推進されている。だが日本では、まだ20%に満たない。
コメンテータープロフィール
日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、自然科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然と人間の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』『虚構の森』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は明治の社会を揺り動かした林業界の巨人土倉庄三郎を描いた『山林王』(新泉社)。