解説シリアからは、中部・南部の諸拠点に対するミサイル攻撃を迎撃という発表が出ています。航空機が領域に侵入したことを示す言いぶりではありません。その一方で、SNSではレバノン方面でシリアの防空軍が敵機を追跡云々という書き込みが見られました。シリアは既にイスラエルによって日常的に攻撃を受けていますが、イスラエルを非難したりシリアを心配したりする声や動きはほとんどありません。また、レバノンに対する攻撃についても、これを非難したり停戦を求めたりする声は平和運動や学術界からも微弱です。パレスチナでの衝突が重要なできごとなのは確かなのですが、世の中の関心や反応がパレスチナに偏重しているところに、本邦が中東やアラブの国とより内面的なお付き合いができない一因があります。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒（1998年）、上智大学で博士号（地域研究）取得（2011年）。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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