ピアノ・野球・学習…能登被災地で学びの場が消滅、子供たちに「体験格差」
読売新聞オンライン
見解体験格差や教育格差は安易に使われる用語です。この記事では災害により、地域の放課後活動の人材リソースや施設が失われている能登地域と、放課後活動の機会が豊富な地域との格差、を意味しているようです。 能登の子どもたちにいま放課後活動のためのお金を払っても意味がなく、施設整備や指導者の派遣・確保や育成などの政策が必要である状況だと理解しました。 高校・大学無償化や受験の交通費受験料支援などの被災者支援は、国・自治体や各大学で継続して取り組む必要があります。 それは体験格差とは別の、交通が不便な地域の特性や経済的理由に起因する進学機会格差の改善政策です。 社会科学の研究者としては、家族の貧困に起因し子どもの放課後活動や家族旅行に親がお金を払えず、体験の格差を生むことが、体験格差である、という定義を報道側が理解しないままに、まとまらない視点で記事を書かれても、問題の本質には迫れないと考えます。
末冨 芳(すえとみ かおり)、専門は教育行政学、教育財政学。子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。
FNNプライムオンライン(フジテレビ系)
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