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佐藤丙午

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拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

報告

見解核軍縮が現実的な政策として、現在の国際環境の下で推進する意義があるかはともかく、少なくとも「核兵器不使用の歴史」の継続は、ロシアを含めて核兵器国も賛同していた。これについては、イスラエルや北朝鮮なども共有できるものである。抑止は「不使用」を前提とする。そして、不使用を継続するべき理由の中核に、核兵器の非人道性があった。 その意味で、鈴木市長は核兵器保有国を含めた全ての国が共有できる価値の下に開催される式典に、政治性が入る余地を与えてしまった。その理由が、式典に対する妨害への懸念、ということであるが、これはテロに屈したことを意味する。結果的に、イスラエルに対する批判を肯定することになり、式典とは無関係な政治的事象が参加者の選別に影響する先例を作ってしまった。 今回の決定で、長崎市は暴力的な脅しで政治的要求を受け入れる団体と理解され、市長の意図に反し、事態は悪化していくことになるだろう。

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  • 村野将

    米ハドソン研究所研究員

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  • 白鳥浩

    法政大学大学院教授/現代政治分析

    解説長崎の鈴木市長の平和宣言は、こうした時だからこそ人類で共有するべきものである。こうした宣言を行う式典…続きを読む

コメンテータープロフィール

佐藤丙午

拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。

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