ハリス勝利なら「選挙結果に異議」、トランプ勝利なら「軍隊出動」も…「米大統領選」どちらが勝っても混乱は必至
民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領の支持率が依然として拮抗している。米CNNが複数の世論調査の数字を分析したところ、投票する可能性の高い有権者のうちハリス氏支持は50%、トランプ氏支持は49%だった。 選挙戦の勝敗を決めるとされる7つの激戦州ではいずれも、トランプ氏が僅差でリードする展開となっている。 トランプ氏が戦後で最も過激な反移民の言説をエスカレートさせる一方、ハリス氏はトランプ氏に詳細な健康状態を公表するよう求めるなど、同氏の「高齢不安」に狙いを定めて攻撃を仕掛けている。 前回(2020年)の大統領選以上に接戦が予想される中、「選挙後に米国の政権移行が秩序ある形で実施できないのではないか」との懸念が生じている。
ハリス氏勝利なら選挙結果に異議
著名投資家でブリッジウォータ-・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏は10月18日、シンガポールで開催されたフォーラムの場で「トランプ氏が接戦で敗北すれば、選挙結果に異議を唱える可能性が高い」と述べた。 トランプ氏とその支持者は、ハリス氏が勝利した場合に「不正が行われた」と主張するための準備を既に進めている。 激戦州の1つである西部アリゾナ州では、トランプ氏の顧問スティーブン・ミラー氏が創設した保守系団体が、選挙結果の転覆を視野に入れた訴訟を起こしている。団体が唱えているのは、地元当局に不手際や不正行為があった場合、法廷が選挙結果を覆せるという理屈だ(9月29日付ロイター)。 このような動きに対し、激戦州の裁判所は選挙を巡る訴訟で結果の確定に遅れが生じないよう、迅速に処理するための措置を講じている(10月15日付ロイター)。
トランプ氏勝利なら軍隊使用の可能性も
2021年1月6日の連邦議会襲撃のような事件が再び起こる可能性も排除できない。専門家は「極右グループの暴力的な行動よりも、票を集計している選挙職員が危険にさらされることの方が心配だ」と危惧している(10月16日付ロイター)。 トランプ氏敗北後の混乱に対する警戒感が高まっているが、同氏が勝利すれば、権力の移行は円滑に実施されるのだろうか。 トランプ氏は13日、米FOXニュースのインタビューで、大統領選当日に「内なる敵」に対処する目的で軍隊を使用する考えを示唆した。「急進左翼の異常者」による混乱が心配だというのがその理由だ。 ハリス氏は14日、「(この発言について)錯乱しており、無制限の権力を求めている」と切り捨てたが、筆者は、トランプ氏の主張にも一理あるのではないかと考えている。 トランプ氏が12日にカリフォルニア州で開いた選挙集会の会場付近で、散弾銃などを大量に保持していた男が逮捕された。トランプ氏への暗殺未遂事件はこれで3度目だ。 「トランプ氏が勝利すれば、米国で史上最高レベルのメンタルヘルスの危機が生じ、暴力の嵐が吹き荒れる」と指摘する政治アナリストもいる(10月17日付ZeroHedge)。