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西山隆行

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成蹊大学法学部政治学科教授

報告

補足大統領の恩赦は合衆国憲法第2条で認められた権限で、歴代大統領も頻繁に発動してきました。ウォーターゲート事件への関与で辞任に追い込まれたニクソン元大統領を、フォード大統領が起訴前に恩赦した例は有名でしょう。その他にも、クリントンはコカイン密売で有罪判決を受けた義理の弟を恩赦しています。トランプは1期目に、脱税などで有罪となった娘婿の父であるチャールズ・クシュナーを恩赦しました(トランプは二期目の政権で同氏をフランス大使に指名すると表明しています)。バイデンは次男を恩赦しないとしてきたのを覆したため批判が強くなっていますが、このような恩赦は珍しいものではありません。 バイデンはクリントン政権期に上院司法委員長として犯罪対策強化の旗振り役を担い、米国の収監者人口を増やしたとしてリベラル派から批判されています。それへの反省もあり、大規模な恩赦を行った面もあるように思います。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 渡辺靖

    慶応大学SFC教授/現代アメリカ論

    補足各種世論調査ではバイデン大統領の息子ハンター氏の恩赦を支持する人は約3割、不支持が約6割となっており…続きを読む

  • 飯塚真紀子

    在米ジャーナリスト

    補足1日当たりの減刑の数では、2017年に退任直前のオバマ氏が行った330人という数がこれまででは最多で…続きを読む

コメンテータープロフィール

西山隆行

成蹊大学法学部政治学科教授

専門はアメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『アメリカ大統領とは何か:最高権力者の本当の姿』(平凡社新書、2024年)、『混迷のアメリカを読み解く10の論点』(共著、慶應義塾大学出版会、2024年)、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治』(東京大学出版会、2008年)など。

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