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中村智彦

中村智彦認証済み

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神戸国際大学経済学部教授

報告

スリランカにおいて、低所得者層を直撃したのは、国内の農業生産が急低下したからです。スリランカは、元々は米を輸出できるだけの豊かな生産を誇っていました。しかし、コロナ禍の最中に化学肥料や農薬の全面禁輸を打ち出すなど、過激な有機農法化を政府が行った結果、生産量が急減、主要輸出品の紅茶は品質が低下するなど多大な影響が出ました。その他にも政府の失政が続き、通貨は下落。肥料などの輸入再開を決めた段階で、今度は輸入品価格の高騰の直撃を受けました。その結果、特に低所得者層は食料品不足や価格高騰の直撃を受け、政府に対する不満が高まったのです。主要産業である観光産業、在外スリランカ人からの送金などがコロナ禍で悪化したところに、失政による国内農業の生産力急低下による輸出の減少が止めを刺したと言えます。

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コメンテータープロフィール

1964年生。上智大学卒業後、タイ国際航空、PHP総合研究所を経て、大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務。2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得)。その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て、神戸国際大学経済学部教授。関西大学商学部非常勤講師、愛知工科大学非常勤講師、総務省地域力創造アドバイザー、京都府の公設試の在り方検討委員会委員、東京都北区産業活性化ビジョン策定委員会委員、向日市ふるさと創生計画委員会委員長などの役職を務める。営業、総務、経理、海外駐在を経験、公務員時代に経済調査を担当。企業経営者や自治体へのアドバイス、プロジェクトの運営を担う。

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