Yahoo!ニュース

六辻彰二

六辻彰二認証済み

認証済み

国際政治学者

報告

見解仲介にあたった米仏はこの停戦合意が「恒久的なもの」と強調している。イスラエル、ヒズボラの双方は今後、お互いを攻撃しないと約束したからだ。 また、主戦場になってきたレバノン南部にはレバノン軍が駐留し、治安維持と停戦監視にあたるほか、どちらかに合意違反があった場合などは米国に情報が共有されることなども合意されている。 ただし、この合意にどれほどの効力があるかは不透明だ。 南部の治安維持にあたるレバノン軍は兵員、装備ともに不足しがちで、その能力には限界があるが、レバノン軍向けの国際的支援をどのように補充するかは明確に定められていない。 さらに、停戦合意が結ばれても双方の敵意が消えたわけではない。実際、イスラエルとヒズボラはどちらも合意違反があった場合には報復を辞さない構えだ。 そのため、偶発的な衝突などでもお互いに「相手が合意に違反した」といいたて、敵対行動に向かう可能性は今後とも高い。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 髙岡豊

    中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

    解説イスラエルによるレバノン攻撃当初は、一方的にヒズブッラーの幹部が「除去」される展開でした。「抵抗の枢…続きを読む

  • 錦田愛子

    慶應義塾大学法学部教授

    解説イスラエル軍の撤退を受けて「勝利」を宣言したものだが、実態の戦闘の結果としては大敗に近い。30年間、…続きを読む

コメンテータープロフィール

博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

六辻彰二の最近のコメント